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精霊伝説:波紋を斬る者 ヴェル、災渦の日記 (+カヤ・ボーフォートのセルフォリーフの日記、アンジェリカ・ラッセルの偽島探検記+イシュケ、翠祀)
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『アンジェ姉、お元気ですか?

この世界からそちらの世界に手紙が届くかわからないけど、
この世界は閉ざされていないから、きっと届くと信じてます。

こちらの町はなかなか盛況です。
島の遺跡外にちょっと似た雰囲気で、やっぱり無料の野菜とかあったのよ。
私もいっぱい無料の物を受け取ってこれから町を出ます。

取引も盛況で、私の合成の腕を買ってくれた人も何人かいます。

それでね。ケサちゃんやピリオーザさんと知り合いっぽい人にあったの。
キルシッカさんっていうのよ。
ケサちゃんから何か聞いてますか?
もしも、ケサちゃんから連絡があったら教えてもらえるとうれしいです。』



『キルシッカさんの髪はケサちゃんに似た感じで、他人とは思えないの。
あとね、チラッとティアリスお姉ちゃんに似た人も見かけました。
時間の流れが違うのか、全然年をとってないみたいよ。
私やアンジェ姉が年を取りすぎなのかも。

ここには英雄の故郷の酒場はさすがに無いみたいだけど、他にも何人か前に島で会ったことのある人がいそう。

それとアンジェ姉の』






ここまで書いて2枚目の便箋をくしゃくしゃと丸めた。


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旅立つ日、王都イシリアへと向かう。
そこにセルフォリーフ救援のための魔法陣があると聞いていた。
王立騎士団の軽い書類選考があって、それでパスすれば誰でも行けるのだと。

さすがに別の世界へ行くということもあって、人は多くなく閑散としていた。

例のセルフォリーフ救援を請う紙に書類はついていたので、事前に用意しておいた書類を差し出す。
何をチェックしているのかはわからないが、書類を見ていた騎士の目がある場所で止まる。


「保護者はラッセル家の先代祭司長どのか?」

「そうです。それがどうか?」

「いや・・・・そうか。気をつけていきなさい。」


たったそれだけで書類選考は終わった。
何人かまとめて魔法陣を開くらしく、午前中の受付で通ったメンバーはそのまま正午まで待たされた。
その間、いかにも能力の高そうな人が何人か来て、騎士団に説得をされていた。
長い説得であきらめる人もいたが、1人が待合のテントに入ってきた。


「長くかかっていたようですが、何があったのですが?」


同じく待たされていた剣士っぽい人が訪ねた。


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祈祷を終えて、そして助言をアンジェリカと母様に告げる。
これで二人は完全に折れた。
私を一人で行かせるしかない。
召喚と魅惑の力を持っている二人とこれ以上一緒にいてはいけないのだから。


「これを持って行って。」


そういってアンジェリカが魔石を渡してくれた。
これをどれだけ大事にしていたか知っている。
フローラさんからもらった紫苑の花。
それを石に封じて魔石としていた。


「いいの?」

「うん、ケサちゃんやフローラお姉ちゃんに通じる人が来ているかもしれないし。
 これが何かの力になるかもしれないから。大事にして。ちゃんと持って帰ってきて欲しいけど。」

「うん、わかった。」


そして、私も大事なものを一つ思い出した。
大事なお守り。
綺麗な白い羽根はピリオーザさんがくれたもの。

持って行こう。
私の心の支えになってくれるだろうから。

荷物はできるだけ軽量にした。
袋に詰めて背中に背負う。

母様は夕飯に私の好きなものをたくさん用意してくれた。
4人で乾杯して、いろんなことを話した。

そうして私の旅立ちの日を迎える0時まで話し続けて・・・・


「今日行きます。きっと一年後に帰ります。」


その言葉でささやかな宴はお開きとなった。

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儀式が終わった後で、もう一度服を脱いで全身を父様に清めてもらう。
4つの刺青以外にも変化がおきていたら今封じてもらわないといけない。
だから、全身余すところ無く父様に確認してもらう。

さすがに18歳の女性にとって、義理の父親とは言え、男性に全身を余すところ無くさらすのは苦痛なところもあった。
だが、今ここで父様のチェックを受けなかったせいで、さらに異形化が進んでは悔やんでも悔やみきれない。


「役得ですね。」


父様は家族に対してだけはにやっと笑いながらこういうことを言う。

ごく普通の信者の方々にこういうことを言ったら、多分父様の権威って半分ぐらいは失墜すると思う。
アンジェリカなどは父様がこういうことを言うと真っ赤になって怒る。

「お父様が聖職者なんて何かの間違いです。雑念とか淫心がいっぱいで、それで女性の身体を清めるなんて信じられない!」

なんていいながら。
オーレリア母様も同じように怒る。

二人が怒るからこそ、父様はからかってそういうことを言うんだってわかってる。
家族だから、こういうことを冗談で言うんだってわかってる。

だから、「役得」と言うときだけはにやにやしていても、ちゃんとまじめな顔をして全身を診てくれるのが私にはうれしかった。
家族なんだよって言われてるってわかるから。


「カヤは怒りませんね。帰ってきたら毎日チェックしてあげましょうか?」

「・・・・父様、せめて月一ぐらいでお願いします。」

「月に一回妙齢の女性の身体をくまなく弄れる(まさぐれる)というのはなかなか良いものですね。」


前言撤回したくなってきた・・・・


「父様、弄るとか言うのやめてください。なんだか表現が卑猥です。」


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「そこに座って。」

言われるままに座るしかない。
ここはこの人のテリトリーだから。

「そんなに緊張しなくていいよ。リラックスして。今お茶を入れるから。」

そういいながらゆったりをお茶を入れる。
その姿勢のよさ、お茶を入れる手つきの優雅さ、優しい目。
父様に魅了される人は多い。
入れてくれるお茶も極上でついつい騙されそうになる。

「そんなに探りを入れなくてもいいよ。二人の態度からなんとなくわかっているのだろう?」

わかっている。
きっと、父様は反対しないのだ。私が一人でセルフォリーフへいくことに対して。

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謎の招待をうけて、セルフォリーフへ行くと言ったあとがまた大変だった。

まずは盛大に同行を主張した方がお二人ほど・・・。


「カヤが行くなら絶対にあたしも行く!!」

「ちょっと待って。アンジェ姉(←「あんじぇねぇ」と呼んでます)。貴女が来るってダメでしょ。今がどういう時期か考えたら?」

「カヤ1人より私が一緒の方がいいに決まってるでしょ!弓の腕だってまだまだ衰えてないし、昔の知り合いだっているかもしれない。大体、カヤ一人でそんな怪しいところに行って、罠かもしれないのに、1人なんて絶対にダメ!!」


アンジェリカがここまで強行に同行すると主張するとは思わなかった。
確かに怪しい誘いだし、罠の可能性は高い。
虎穴にいらずんば・・・・という気持ちで出かけるのだけど、それでもアンジェリカに来られては困るのだ。
なぜなら・・・・


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「カヤ、貴女に手紙よ。」

そういって微笑みながら手紙を渡してくれたのは、金色の髪にやや褐色の肌、青い瞳の美しいやさしい養母オーレリアだ。
だが・・・・・相変わらず、どこか抜けていらっしゃる。

手紙を受け取るよりも前に私と同じことに気づいたのはアンジェリカだ。

「誰から?」

封筒の色は真っ赤で、ご丁寧に封蝋されている。
蝋の色は黒だ。
差出人の名はない。

「あらあら?誰からかしら?カヤちゃん憶えはないの?」

私に手紙を書いてくる人?
この家印から考えてラッセル家の方々ではない。
ケサちゃんならアンジェリカに手紙を書くだろうし、いつも淡い色の便箋とセットの封筒を使っている。
ピリオーザさんからの手紙はいつも白だ。
旅をしている時に知り合った他の方はアンジェリカに手紙を書くことはあっても、私に書いてくることはない。
私自身旅が終わるまでこの地に安住すると決めていなかったので手紙のあて先など伝えていないのだ。

「大丈夫だよ。あけてごらん。」

不安が顔に出てしまったのだろうか?

養父が大丈夫というのなら、きっと大丈夫。
銀色の髪とグレーがかった青い瞳で優しく微笑む養父。
彼ならちゃんと調べた上であけて大丈夫と言ったのだろうから。


赤い封筒を開封する。
中に入っていたのは1枚のカードと1枚の紙。

この紙は知っている。
セルフォリーフというところで世界のバランスが崩れているという話。
王立騎士団からも応援部隊を出すとか出さないとか・・・・。

それぞれの世界のバランスは脆く積み重なっている。
このイシリアにも古き神々、新しき神々とそれを封じる騎士団、ギルドの大きな戦いがある。
最近、税金があがったのもそのためだ。
騎士団を増強するためなら仕方ないと思っている。
その戦いがこの世界のバランスを決めているのだから。

どこかの世界のバランスが崩れると、他の世界にもなにかしらの影響はある。
明らかにバランスの崩れようとしている世界があれば、それを修復しようとするのは当然だ。
冒険者ギルドも近いうちに修復部隊を送り込むための希望者を募っているとか。

この紙はその希望者募集の広告にも掲示されていた世界バランスの警告文章だ。


そして、もう一枚のカード。
書かれていたのはたったの一文。


『世界復元の裏で火喰い鳥の民を再び呼び起こそうとする者がいる。』


火喰い鳥の民。
それこそ華煉さんが堕ちた姿。
緋色の炎のような翼を持つ種族。
華煉さんを最後に世界から消された種族。


火喰い鳥の民は精霊の影響をうけているだけあって、非常に良い霊的媒体で、その身体は良いものも悪いモノも憑依させられる良質な器。
火喰い鳥の民に悪いモノが憑ついて、世界のバランスを揺るがせたこともあるらしい。

そんな火喰い鳥の民を呼び起こす?
バランスの崩れた世界を修復する影で、また新たな火種を起こそうとする動きがあるということ?


背中で翼がパタパタを動く。

火喰い鳥の民を呼び起こそうとする動きがあるなら、
そして、その結果私の身体に変化が起こっているのであれば・・・


「止めなきゃ。」


私は火耶という名前も捨てた。
今は「カヤ」として生きている。
この国で平和に人として生きたい。

私は火喰い鳥の民になりたくない。
世界を揺るがす存在など起こしてはいけない。


「来いというのなら言ってあげる。」


セルフォリーフ。
崩れかけた世界へ。
その修復の裏に潜むものを断ち切るために。

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