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精霊伝説:波紋を斬る者 ヴェル、災渦の日記 (+カヤ・ボーフォートのセルフォリーフの日記、アンジェリカ・ラッセルの偽島探検記+イシュケ、翠祀)
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朝、すっきりとした朝。
俺とレグは今日一日休んで、明日からまた新たな護衛の任務に行くことにした。
最近、レグと朝の時間が合わない。
夜遅くまで何かしているのか、それとも疲れて朝起きれないのか・・・
それともレグは寒さが苦手なのかな?
確かに最近寒いけど・・・俺自身は寒さも暑さも特に不愉快じゃないし。
災渦がいれば何も怖くない。
 
 
朝ごはんの用意はすでに出来てて、女将も慣れたもので俺の分だけが用意されてた。
けど・・・・
「あれ?今日なんかあるの?」
食堂のたなに何か飾りのような物がいっぱい。
昨日までこんなのあったかな?
「それは常連の方々がもってきてくれたんですよ。今日の夜ちょっとしたパーティを開こうと思うてます。煩いかもしれませんけど堪忍してくださいね」
「パーティ?何の?誰かの記念日?」
「まぁ、ちょっとした記念日で・・・」
どうも女将の歯切れが悪いな。
俺は綺麗な飾りをごそごそと・・・あれ?
「Happy Birthday?誰かの誕生日なの?ひょっとして・・・」
「まぁ、いややわ。ヴェルさんそんなん見つけはりましたん?」
「女将の?」
「えぇ、そうどす。」
女将はにこにこっと笑って・・・え?
「誕生日なの?もっと早く言ってよ!おめでとう!」
「まぁ、おおきに。」
 
これは・・・・・誕生日プレゼントを贈らないといけないよな。うん。
俺は朝食もそこそこに(というか、ガッツリ食べたけど、急いで食べて)レグの部屋に行く。
レグは朝の支度中みたいだ。
 
「レーグ、おはよう。今日、女将の誕生日なんだって!俺でかけてくるから!!」
 
それだけ言い残して宿を飛び出した。
最初はもちろん街へ。
何かいい物がないか探す。
昼ごはんの準備が始まる前に町をうろうろしないと・・・・肉や魚を焼く臭いがし始める前に。
途中で少し変わったTOYストアという店を見つけたけど、女将にあげるには少し癖のある物がいっぱいだ。
仕方ない。
こうなったら奥の手だ。
俺は小さな箱と綺麗な紙とリボンだけを買い込んだ。
 
一度宿に戻って、今度は海へ
今の時期海に来るやつなんてほとんどいない。
朝は漁があったみたいだけど・・・・
その人たちもいないから、俺は魚たちの泣き叫ぶ声を聞かずに済んだ。
このあたりの浜から離れるように魚たちに伝えてあげないと・・・そう思いながら、前に見つけた洞窟で服を隠す。
 
そして、災渦だけをもって、海へ・・・
そして聖域へ・・・
 
災渦についている青い玉石が少し濁っていることに気づいたのはカルルとの二度目の戦闘の後だ。
いつからかわからないけど、きっと濁っているのはよくないことなんだろう。
少しの間聖域に留まって石の濁りが取れるのを待った。
その間も聖域の中にはときどき魚たちが入り込んでくる。
俺は彼らに聞きたいことがあったんだ。
聖域に偶然とはいえ入り込んでくるだけの運をもった魚たちなら知っているはずだから。
 
知りたいのは綺麗な阿古屋貝。
その涙を一かけら譲って欲しくて。
殺したくはない。
自ら吐き出してくれるぐらいの強い阿古屋貝を教えてほしいと請い願う。
魚たちは俺の言葉に耳を傾けて、一つの場所を教えてくれた。
 
ずっと聖域で水につかって、災渦の濁りが取れたのは昼もかなり回った頃。
もちろん災渦は俺に力を貸してくれる。
聖域を抜けた俺がたどり着いた場所にいたのは立派な阿古屋貝。
その大きな殻は真珠を抱いては、ときどき吐き出して・・・・その貝の周りは宝石箱みたいだった。
俺は貝に語りかけ、一粒の真珠をいただいていく。
この場所は秘密の場所。
人間どもに知られたら、きっとこの貝の命が危ういだろう。
それほど綺麗な場所。
 
真珠は儚くて綺麗で好きだ。
俺の母もとても真珠が好きだったらしい。
きっと俺に妹がいたら真珠から名前を取っていたんだろうな。
この綺麗で上品な玉石はきっと女将にも似合う。
喜んでくれるといいけど・・・・
 
 
宿に戻ってきたら、レグはまだ出かけているみたいだった。
俺は食堂を飾り付けている常連のおじさんたちに目をつけられないように、そっと階段を登って自分の部屋に戻った。
それから俺は買ってきた箱とリボンと包装紙を相手に小一時間ほど格闘することになった。
 
夕食の時間。
食堂のホールの飾りは終わったようで、俺とレグと女将だけ。
今日は30分ほどで食事を終わらせないと。
レグはパーティに出るつもりかもしれないけど、俺はこの宿のパーティであっても他のヒトは苦手だ。
特にかなり年長のヒトにはどう対応していいのかわからない。
いつもよりちょっとだけ豪華な食事。
いつもよりちょっとだけ良いお酒。
レグと女将と三人で乾杯。
今まで知らなかったけど、女将の家族は遠くにいて、時々誕生日に帰ってくるけど、今年は帰ってこない年らしい。
俺とレグのお祝いじゃ、子供には敵わないと思いつつ、二人からささやかなプレゼント。
レグのプレゼントは香水だった。
女将に似合いそうな素朴でごちゃっとはしていないけど複雑でどこか上品な香り。
レグらしいなと思った。
俺のプレゼントも女将は喜んでくれたけど、どうせだったらペンダントか何かに加工すればよかったかな?
 
常連の人たちが待っているけど、少しだけ時間をもらう。
久々に歌を歌う。
命を寿ぐ歌。
レグが適当に笛であわせてくれた。
シンプルな笛の音と俺のリフレインがかかる歌。
歌い終わったらドアの外からも拍手が聞こえた気がするけど、気のせいだよな。
 
レグはパーティでも笛を披露するみたいだけど、俺はそっと部屋に戻った。
ときどき聞こえてくる笛の音に適当に言葉を載せて歌を紡ぐ。
レグの素朴な笛の音は好きだ。
明日は野営だから、またレグの笛を聞けるといいな。
そう思いながら俺は眠りについた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
美しい真珠
それを他人の手を借りずに取り戻したいと思ってはいけないのだろうか?
本当に人の手を借りなければ取り戻せないのであれば・・・・一体誰の手を借りるべきなのだろう。
私は途方にくれていた。
ヴェルが私を聖域に連れていってくれたから、今なら回廊を新しく開くことも出来る。
あの女将の方が安全だろうか?
だが、四六時中ヴェルと一緒にいるわけではないから、私も彼女を知ることはできない。
ヴェルにもう一人仲間を探させたいが・・・・そのぐらいならあの奏者にもできるだろうか?

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