精霊伝説:波紋を斬る者 ヴェル、災渦の日記
(+カヤ・ボーフォートのセルフォリーフの日記、アンジェリカ・ラッセルの偽島探検記+イシュケ、翠祀)
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謎の招待をうけて、セルフォリーフへ行くと言ったあとがまた大変だった。
まずは盛大に同行を主張した方がお二人ほど・・・。
「カヤが行くなら絶対にあたしも行く!!」
「ちょっと待って。アンジェ姉(←「あんじぇねぇ」と呼んでます)。貴女が来るってダメでしょ。今がどういう時期か考えたら?」
「カヤ1人より私が一緒の方がいいに決まってるでしょ!弓の腕だってまだまだ衰えてないし、昔の知り合いだっているかもしれない。大体、カヤ一人でそんな怪しいところに行って、罠かもしれないのに、1人なんて絶対にダメ!!」
アンジェリカがここまで強行に同行すると主張するとは思わなかった。
確かに怪しい誘いだし、罠の可能性は高い。
虎穴にいらずんば・・・・という気持ちで出かけるのだけど、それでもアンジェリカに来られては困るのだ。
なぜなら・・・・
まずは盛大に同行を主張した方がお二人ほど・・・。
「カヤが行くなら絶対にあたしも行く!!」
「ちょっと待って。アンジェ姉(←「あんじぇねぇ」と呼んでます)。貴女が来るってダメでしょ。今がどういう時期か考えたら?」
「カヤ1人より私が一緒の方がいいに決まってるでしょ!弓の腕だってまだまだ衰えてないし、昔の知り合いだっているかもしれない。大体、カヤ一人でそんな怪しいところに行って、罠かもしれないのに、1人なんて絶対にダメ!!」
アンジェリカがここまで強行に同行すると主張するとは思わなかった。
確かに怪しい誘いだし、罠の可能性は高い。
虎穴にいらずんば・・・・という気持ちで出かけるのだけど、それでもアンジェリカに来られては困るのだ。
なぜなら・・・・
「アンジェ姉、わかってる?貴女来月何があるか、一年後に何があるかわかってるの?」
「カヤこそわかってるなら、こんな時期に家を離れなくてもいいじゃない!」
ごもっとも。
確かにごもっともなんだけどね。
来月はアンジェリカが婚約して、一年後に挙式。
相手は・・・・一言で言うと「いい人」
良くも悪くも「いい人」
誉められる時は「あの人はいい人だから」といわれ、
悪く言われる時もため息混じりに「あの人はいい人なんだけどね・・・・・」と言われるような、
朴訥で、気遣いが出来て、やさしいけどちょっと物足りない人。
そういうとアンジェリカはすごく怒る。
二人でいるときにどんな会話をしているのかわからないけど、アンジェリカはあの人に心酔してる。
まぁ・・・・だから、きっと、いいんだろう。
20歳で結婚と言うのはちょっと早い気がするけど、何より父様が許している。
セオドア・ボーフォート
私の養父になった人
アンジェリカからも何度か聞いていたけど、すごい人だ。
凄烈な弁舌、魅了する言葉。
磨かれた政治力でことを進めて、自分は動かなくてもまわりで人が動いてる。
その上、神官なうえに元祭司長というのは伊達じゃなく、魔力と神力のキャパシティが凄まじい。
よくまぁ、こんな人をあの家が手放したものだ。
いや・・・それまでつなぎとめられていた方が奇跡的か。
とにかく、アンジェ姉がどうやら本気で好きになったらしいと知った父様は相手を検分に行ったらしい。
かなり考えたくないようなテストもしたようだ。
そのテストに彼は十二分に答えたらしい。
(もちろん、アンジェ姉はそんなことがあったことを知らない。知った時が怖い)
いい人なのは間違いないし、父様のテストを通ったということはそれなりに気骨もあって、アンジェリカのことも大事にしてくれるんだろう。
そういう相手と婚約することが決まっていて、結婚も決まっていて、それで別の世界に行く?
できるわけがない。
要するに、「行くな」と言いたいんだろう。
だが・・・
「今はアンジェ姉と母様から離れる方がいい。」
アンジェリカの顔が曇る。
そんな顔をさせたくないけど、仕方がない。
「あらあら、アンジェリカちゃんの代わりにお母さんが行こうかと思っていたのに、お母さんもだめなの?お母さんの召喚術だってまだまだ行けるわよ。それに魔銃の腕も衰えていないし、魔法もまだまだ使えるわよ?」
・・・・・確かに魔法もまだまだ使えるし、召喚もまだまだいける。
日常生活で使われるより、そういう危険そうな場所で使う方がいいとは思う。
デビルサマナーの母様がちょっと模様替えするためにバール召喚したり、お買い物のためにデュラハン召喚されるよりよほどいい。
が・・・・・
「アンジェ姉のハレの日に母様がいないなんてありえないでしょ?それにアンジェ姉と母様は『変革』の力をもっているからダメなの。」
父様の持っている力は「結界」と「浄化」
母様の持っている力は「変革」と「打破」
アンジェリカはその両方の力を少しずつ引き継いでいる。
ただ、その中でも「浄化」と「変革」の力が大きいみたい。
悪いもの、古いものを変えていく力。それはすごい力、すばらしい力だけど、今の変化を止めたい私にとっては害にしかならない。
そう、この家で今回私がついて来て欲しいと思う人は1人しかいない。
しかし、その人がこの家を離れると、この家はすぐに崩壊してしまう。
それがわかっているから、その人は一緒に行くとは絶対に言わない。
「変革の力なんて、父様に封じてもらうから。ね。たまには母様も思いっきり魔法使いたいの。ね。だめ?」
この方は相変わらずで・・・・
困ってしまう。
「カヤ、少し話をしようか。」
「父様」
「祈祷室へおいで。そこで話をしよう。」
そういって父様が席を離れて・・・母様もアンジェ姉も黙った。
父様が決断したら、それに反対は誰も出来ない。
行って良いと言うのか、それとも、行くなというのか。
どちらの結論でも母様もアンジェリカもそして私も受け入れると思う。
居間を出る時に振り返ると母様は台所に戻ろうとしていた。
多分泣いてた。
アンジェ姉は膝を抱えて椅子に座って・・・・ぎゅっと唇を噛み締めていた。
二人にそんな顔をさせたことは辛い。
だけど、多分、父様の出した結論は二人にそういう顔をさせるような結論なんだろう・・・・・
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