精霊伝説:波紋を斬る者 ヴェル、災渦の日記
(+カヤ・ボーフォートのセルフォリーフの日記、アンジェリカ・ラッセルの偽島探検記+イシュケ、翠祀)
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「そこに座って。」
言われるままに座るしかない。
ここはこの人のテリトリーだから。
「そんなに緊張しなくていいよ。リラックスして。今お茶を入れるから。」
そういいながらゆったりをお茶を入れる。
その姿勢のよさ、お茶を入れる手つきの優雅さ、優しい目。
父様に魅了される人は多い。
入れてくれるお茶も極上でついつい騙されそうになる。
「そんなに探りを入れなくてもいいよ。二人の態度からなんとなくわかっているのだろう?」
わかっている。
きっと、父様は反対しないのだ。私が一人でセルフォリーフへいくことに対して。
言われるままに座るしかない。
ここはこの人のテリトリーだから。
「そんなに緊張しなくていいよ。リラックスして。今お茶を入れるから。」
そういいながらゆったりをお茶を入れる。
その姿勢のよさ、お茶を入れる手つきの優雅さ、優しい目。
父様に魅了される人は多い。
入れてくれるお茶も極上でついつい騙されそうになる。
「そんなに探りを入れなくてもいいよ。二人の態度からなんとなくわかっているのだろう?」
わかっている。
きっと、父様は反対しないのだ。私が一人でセルフォリーフへいくことに対して。
「オーレリアとアンジェリカがそれぞれ家を離れる前にも祈祷室に呼んだからね。だから、二人は察したんだろう。
カヤ、今は私もオーレリアもアンジェリカも家を離れることが出来ない。それはいいね?」
「はい、父様」
離れられるわけがない。
アンジェリカの婚礼を前にして。
「でも、君はいまのままで居たくはないのだろう?」
「えぇ、父様。
私はこの異形の自分を受け入れることが出来ません。
まして、アンジェ姉の結婚式で、アンジェリカの妹が異形の者だと騒ぎ立てられることも好みません。
私は、自分を取り戻して、アンジェ姉の結婚式に堂々と列席するつもりです。」
「向こうの世界とこちらの世界では時間の流れ方に差があるかもしれない。
だが、どんな形であれ、一年後に必ず一度戻って来て欲しい。わかるね。」
「わかりました。父様。例えこの異形の姿のままだったとしても、一年後にもっとひどい姿になっていようとも、必ず一度は戻ります。」
今のままなら翼を隠して人のすがたを取れる。
例え、もう一枚の翼が生えても人の姿を取ることは不可能じゃないだろう。
一年後のアンジェリカの結婚式までに必ず戻る。
戻ってみせる。
「もう一つ。私の祝福を受けて行きますか?オーレリアは受けて、アンジェは拒否したけど。」
「祝福?父様の?」
「大したことではないよ。君の額に口づけて私の力を注ぐだけだ。額に花のような跡が刺青のように残るけど、効果はそれなりにあると思うよ。」
そういえば母様の額に不思議なあざのような物がある。
少し運動したり感情が高ぶると浮き上がってくる花のような模様。
あれが父様の力?
「アンジェ姉はどうして拒否したんですか?」
「いい方が悪かったのかな?悪い虫がつかないようにと言ったのだけど・・・・」
ふーーん
「なるほどね・・・アンジェ姉には悪い虫つきかけてましたものね。」
余計なことを言ったせいで、久々にいろんなことを根掘り葉掘り聞かれてしまった。
今の婚約者以上に親しい者などいないし、やましいことなどは一切していないし、プラトニックだったのだけど、それでも父様にいうべきじゃなかったかも。
おかげさまで
「カヤは絶対に私の祝福をうけること!!」
はいはい。
結界により異形化を止めて、浄化により私の異形を弱められる父様の祝福なら喜んで受けるつもりだったけどね。
しかし、悪い虫がつかないようにってどういうことなんだろう?
そう思いながらも祝福をうける儀式を始める。
まずは服を脱ぎ、全身を聖水で清めてもらう。
その後、薄絹をまとって祭壇に横たわる。
父様が祈祷しながら、額を聖水で清め、祈祷を始める。
なんだろう、額がすこしずつ熱くなってくる。
父様の左手が額を押さえて、右手で空間に印を結んでいる。
祈祷の声が響く。
祈祷の声が気持ちいい
このまま眠りについてしまいそうなぐらい。
祈祷が続き、印を描く右手はずっと空を舞い続ける。
やがて、右手で描いた印が徐々に光を放ち、空間に魔法円が完成した時、父様はその魔法円にそっと口づけて、そして私の額に口づけた。
熱い。
額が燃えるように熱い。
祈祷の声のあまりの気持ちよさに気が抜けていた。
まさか、こんなに熱いなんて。
ほんの一瞬の口づけだったのに、あまりの熱さに全身がこわばる。
顔が歪むのがわかる。
父様がもう一度聖水を額にかけてくれて、熱さがようやく引く。
そして、父様に支えられて祭壇を降りる。
まだ、全身が痺れて上手く動けない。
そして、鏡の前ではじめて額を見た。
口づけたところに小さな花のような模様。
そしてその花で縛り付けられているのは・・・・何かの刺青?
「どうやら、翼と一緒に何かの印が君の身体に刻まれようとしているようだ。額と両腕とそして胸。
おそらく火喰い鳥の民の刺青が浮き上がろうとしているんだと思う。
額は封じたけど、残りはどうしたい?カヤ」
そういいながら、両腕と胸の一部を指さす。
そこには確かにうっすらと何かの模様が浮き出ようとしていた。
緋魅に聞いたことがある。
火喰い鳥の民は成人儀礼を経て守護精霊と契約する。
そのたびに刺青が彫られ、成人した時には額と両腕と胸に刺青を持つのだという。
華煉さんは胸の刺青は無かったけど、その身体のもとになったマナさんの身体には胸の刺青もあったと聞いた。
それが私の身体に浮き出そうとしている?
これ以上の変化はごめんだ。
「封じて下さい。父様。私は今のままがいい。」
そうして、今までの3倍の時間をかけて両腕と胸にも父様の祝福をうけて・・・・私の身体に4つの花が咲いた。
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