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精霊伝説:波紋を斬る者 ヴェル、災渦の日記 (+カヤ・ボーフォートのセルフォリーフの日記、アンジェリカ・ラッセルの偽島探検記+イシュケ、翠祀)
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旅立つ日、王都イシリアへと向かう。
そこにセルフォリーフ救援のための魔法陣があると聞いていた。
王立騎士団の軽い書類選考があって、それでパスすれば誰でも行けるのだと。

さすがに別の世界へ行くということもあって、人は多くなく閑散としていた。

例のセルフォリーフ救援を請う紙に書類はついていたので、事前に用意しておいた書類を差し出す。
何をチェックしているのかはわからないが、書類を見ていた騎士の目がある場所で止まる。


「保護者はラッセル家の先代祭司長どのか?」

「そうです。それがどうか?」

「いや・・・・そうか。気をつけていきなさい。」


たったそれだけで書類選考は終わった。
何人かまとめて魔法陣を開くらしく、午前中の受付で通ったメンバーはそのまま正午まで待たされた。
その間、いかにも能力の高そうな人が何人か来て、騎士団に説得をされていた。
長い説得であきらめる人もいたが、1人が待合のテントに入ってきた。


「長くかかっていたようですが、何があったのですが?」


同じく待たされていた剣士っぽい人が訪ねた。





「いや、異世界の修復に行くぐらいなら神々との戦いに参戦しないかと問われていた。
 異世界に行く以上、生死も確保できない。戻れるかもわからないのであれば、
 同じこの世界を支える力になってくれないかと・・・」


なるほど。
騎士団が書類面談をするわけだ。

この世界とて安定してはいない。
騎士団が神殺作戦と称して、外敵からこの世界を守っていることは誰もが知っている。

力あるものが他の世界に行くぐらいであれば、まずはこの世界の修復をということか。
書類選考で引っかからない者たちは、まずは異世界修復で腕を磨いてこいという訳だ。


スルーで通った人たちはなんともいえない顔をしていた。
だが、確かにこの中で騎士団の力になれるほど強い人たちがいるかというと・・・・お察しくださいと言うレベルだ。
私とて、火の魔法は多少使えるが、それがどれほどの力になることやら。

ただ一つはっきりしたのは、父様がついて来てくれたとしても全力で止められただろうということ。
アンジェリカや母様でも危なかったな。
私一人だから通ったんだ。


正午になってようやくゲートが開く。
おのおの荷物を持ってゲートへ。

いろんな人がいる。
剣を持ってライトアーマーを見につけている人。
槍を持って多重装甲に身を包んでいる人。
短剣を持って、レザーアーマーだけに身を包む速攻兵。
中にはロングライフルを見につけて、ゴスロリのワンピースに身を包んでいる黒髪の女性なんかもいる。
確かに狙撃兵なら服はどうでもいんだろうけど・・・・

そういう私も魔法系なので服については人のことは言えない。
火の魔法を使う以上、燃えてはいけないので、burlywood(#deb887)の耐熱性の膝上のシンプルなワンピース。
上腕と胸の花が見られないように、七分袖できっちりと胸元が隠れるようなタイプ。
そして一見何も着ていないようにも見えなくもないlemonchiffon(#fffacd)のレギンスに
darkgoldenrod(#b8860b)のショートブーツ。
右腕には赤い石のついた銀の腕輪。
シオンの花を封じた魔石はペンダントのようにして首から下げた。
そして、orange(#ffa500)のリュックを背中に背負って、それだけ。

リュックを背中に背負うことで自然と翼を格納するようになる。
どうせ片方しかなくて使えない翼。
広げたらワンピースが破れてしまう困りもの。
格納する癖をつけておく方がいい。

orangered(#ff4500)の肩より少し長めのセミロングヘア
前髪を下ろして額の花を隠してある。

それが今の私。

6つの花の封印が一つも欠けなければきっと大丈夫。
注意するのは召喚術の使い手と魅惑の使い手。
一緒に居てもいい時間は3日間まで。
このゲートの中にも数人いるようだけど、魔法陣で送られたら離れればいいだろう。



転送魔法陣が青く光る。



異世界への門が開く。
そうして・・・・私は新しい世界へとたどり着く。

そこはスティルフという町だった。



町ではいくつかの売り物が並んでいる。
どうやら他の世界から来た人のために無料で出されている物もあるらしい。
みんなそれを仕入れている。


しかし・・・・・他の世界から来た人は皆ここにたどり着いたのだろうか?
人が多い。
もちろん、魅惑と召喚の技を持つ人も多い。
一刻も早くこの場を離れなければならない。


私は店へと向った。

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