精霊伝説:波紋を斬る者 ヴェル、災渦の日記
(+カヤ・ボーフォートのセルフォリーフの日記、アンジェリカ・ラッセルの偽島探検記+イシュケ、翠祀)
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朝、すっきりとした朝。
俺とレグは今日一日休んで、明日からまた新たな護衛の任務に行くことにした。
最近、レグと朝の時間が合わない。
夜遅くまで何かしているのか、それとも疲れて朝起きれないのか・・・
それともレグは寒さが苦手なのかな?
確かに最近寒いけど・・・俺自身は寒さも暑さも特に不愉快じゃないし。
災渦がいれば何も怖くない。
朝ごはんの用意はすでに出来てて、女将も慣れたもので俺の分だけが用意されてた。
けど・・・・
「あれ?今日なんかあるの?」
食堂のたなに何か飾りのような物がいっぱい。
昨日までこんなのあったかな?
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カルルとの戦闘も順調で、俺たちはいろいろな買い物資金を溜めていた。
俺はついつい無駄遣いしちゃんだけど、レグはどうするんだろう?
宿で手持ちのきらきら光る玉石を眺めるのは楽しい。
もっといろんなものを集めたい。
食事のときに女将が言ってたけど、この町も冬になるときらきらした物で飾られるらしい。
海に近いこの町がきらきらしているのは楽しそうだな。
そんなことを考えながら俺はベッドに潜りこんだ。
海は暖かいから空気の冷たさは苦手だ。
この宿は心地いいけど、やっぱり風霊たちは入り込んでくるし、空気を引っ掻き回して冷たくしてしまう。
災渦がいるから大丈夫だけど・・・災渦の力を無駄に使わないためにも、俺は暖かくして休まなきゃ。
宿に戻ってきても今日は気分が晴れない。
カルルと戦ってお金ももらったし、水の支配者という宝玉も買えた。
だけど、昨日の夢が忘れられない。
俺は確かに水都を追放されている。
その前の記憶もかなり奪われていて、思い出そうとすると欠落に気づく。
さらに記憶を思い出そうとすると災渦が干渉して俺を眠らせてしまう。
だから、あんな夢で言われたようなことがあったなんて憶えてはいない。
だけど、あの夢はリアルだった。
なぜか妙にリアルだった。
あれは俺の経験したことだったのか、それすらわからない。
きっかけがレグの儀式なことは確かだけど・・・。
宿に帰ってくるとほっとする。
ここはいつ帰ってきても空気が綺麗だ。
窓を開けると潮風の匂い。
海風が気持ちいい。
俺は窓を開けたままシャワーを浴びた。
水霊だけじゃなく風霊や潮霊まで遊びに来て、俺の髪を引っ張って遊んでる。
この空気がとても俺には気持ちがいい。
シャワー浴び終わってからも精霊たちと遊んでいたが、そういえばこのあとの行動を決めてなかったと不意に気づいた。
精霊たちに手を振って、斜め向かいのレグの部屋へ。
レグは多分部屋にいるはずだ。
隊商護衛も2回目となると要領がわかってくる。
俺達は少し隊商から離れて警備に当たることにした。
レグが精霊を使えること、いざとなったらすぐに駆けつけられること。
それにアルベルト達も監視されているとそれはそれで不自由と感じたこと。
理由はいろいろあるが、とにかく、俺とレグにとっては都合のいいことになった。
今日の夕食も俺が水を汲んできて、レグが準備。
できたものは俺達でも食べられるもの。
さすがに宿と違って味付けはシンプルになってしまうが、それでも俺にとっては十分だ。
そう。
食事はいいんだ。
いいんだけど、何故かレグが考え込んでるみたいだ。
アーベルと別れて宿に戻ってきた。
久々の宿でほっとする。
今回の依頼はかなり楽だったけど、それでも戦闘のあとは血の臭いが残ってる。
女将は気にならないのかな?
俺は海の見える部屋に入って、シャワーを浴びた。
水霊が遊びに来て俺の髪をつんつんしている。
髪についた水をタオルで拭きながら部屋に戻り、服を着替えるとさっぱりした。
また服の洗濯をお願いしないと。
服を抱えて下に下りて行くと、女将は何やら帳簿をつけていた。
「これお願いできる?」
「はいはい。あずかりましょ。ところでヴェルさん?」
「ん?何?」
川の流れる音がする。
川沿いのキャンプは危ないんじゃないかとレグが言ったけど、俺が問題ないと説き伏せた。
レグはさっきから料理の準備している。
アーベルもそんなに料理は得意じゃないらしく、普通の携帯食を食べるつもりだったらしいから、レグの料理に同意した。
おかげさまで今日の野営はそんなにきつくない。
豆とか香草などを入れ込んで何かスープ状のものを煮込んでいるみたいだ。
俺は何となくうれしくなって見張りをしながら歌を歌ってた。
子どもの頃に憶えた歌。
レグは不思議そうな顔をしている。
そりゃレグの言ってた歌い手さんほどうまくはないだろうけど、アーベルの顔を見ている感じだとそれほど下手じゃないはず。
空が赤くなって、やがて暗くなり始める頃にレグの料理ができたらしい。
お皿に盛ってみんなで食べる。
「ヴェルさん、歌上手なんですね。不思議な歌でしたけどヴェルさんの国の歌なんですか?」
アーベルはちょっとお酒が入って陽気になってるみたいだ。