精霊伝説:波紋を斬る者 ヴェル、災渦の日記
(+カヤ・ボーフォートのセルフォリーフの日記、アンジェリカ・ラッセルの偽島探検記+イシュケ、翠祀)
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宿に戻ってきても今日は気分が晴れない。
カルルと戦ってお金ももらったし、水の支配者という宝玉も買えた。
だけど、昨日の夢が忘れられない。
俺は確かに水都を追放されている。
その前の記憶もかなり奪われていて、思い出そうとすると欠落に気づく。
さらに記憶を思い出そうとすると災渦が干渉して俺を眠らせてしまう。
だから、あんな夢で言われたようなことがあったなんて憶えてはいない。
だけど、あの夢はリアルだった。
なぜか妙にリアルだった。
あれは俺の経験したことだったのか、それすらわからない。
きっかけがレグの儀式なことは確かだけど・・・。
そういえば、レグはなんであそこまで知りたがったんだろう?
神に誓いを立てるようなことをして、それほどまでにアレのことを知りたいなんて・・・。
レグが金儲けに走ろうとしているとは思えない。
でも俺の知っている大地の民って、病のときですらそれを神の与えた試練とおもうような素朴な民が多い気がする。
アレからできる薬に興味を持たないだろう民No.1だ。
ブラクエイは俺の知っている大地の民とはまたちょっと違う考え方をするんだろうか?
俺は少しだけ悩んだ。
ブラクエイが俺の思っている大地の民と同じような考え方をするとしたら、レグにはよほどの事情があるんだろう。
それを聞いてもいいものだろうか?
悩んで、悩んで、それでも気になるんだから一回聞いてみようと思ってレグの部屋の扉をノックした。
部屋に入るとレグは地図を見てた。
「地図?」
「あぁ、ヴェルの国は一体どこだろうと思ってな」
「それはレグにも言えない」
そういいながら俺は少しドキッとした。
アレを見たら俺の国に興味を持つのは仕方ないかもしれない。
レグが誓ったから話したけど、レグが俺の国の場所にまで興味を持つなんて。
あの夢は俺の潜在意識の警告だったのか?
俺はレグに話すべきじゃなかったんだろうか?
「どうかしたのか?」
そういわれて、少し物思いにふけってしまった自分に気づいた。
ここに来たのはレグに訊くためだけど、訊いてしまっていいんだろうか?
これ以上レグに深入りして・・・・。
レグは不思議そうな顔をしてこっちを見ている。
えぇい、どうとでもなれ!
「レグ、聞いてもいい?」
「なんだ?」
「どうして儀式してまで、アレのことを聞きたがった?」
聞いちゃった。
俺は何かまずいことをしているかもしれないけど、毒を食らわば皿まで!
こうなったらレグにはとことん深入りしてやる。
「それには前に少し話した精霊協会に来た理由の続きから話さないといけないな。
長くなるからお茶でも入れようか。今度は寝るなよ?」
そういいながら、レグはお茶を入れてくれた。
ちょっと独特の匂いがする。
香草茶だろうか?
それからレグはぽつりぽつりと自分のことを話し始めた。
俺は少し驚きながらその話を聞いてた。
幼馴染の話は・・・正直ちょっと重かったけど、人魚の鱗に興味を持つのはわかる。
おまけにまさか人魚にあったことがあるなんて。
俺たちの一族以外にも人魚と縁のある一族はいるかもしれない。
だけど・・・・
銀髪か。
一体誰だろう。
どうも水都の記憶は曖昧で思い出せない。
しかし、レグの探しものを俺が手伝うのは何かと問題があるかもしれない。
「そうか。見つかるといいな。」
俺はそれしか言えなかった。
レグは何か言いたそうだったけど、俺は、お茶ありがとう、とだけ伝えて部屋に戻った。
小さな袋をあける。
小さな袋にはあと・・・・・6枚か。
そういえばこれも少し銀色に見えるな。
俺は2枚取り出してレグの部屋に戻った。
「レグ、これやるよ。レグなら間違った使い方しないだろうし。
ストップ。何も言うな。
ただ一つだけ。それの薬効は俺には効かないから。それだけ憶えといて。
要は俺に使うような無駄なことはするなって意味。」
俺は一気にそれだけ言うと、唖然としているレグをおいて部屋を出た。
あんな幼馴染の話を聞かされたら、こうするっきゃないだろう。
俺は部屋に戻って、4枚だけ入っている袋を眺めて、大瓶を取り出してまた6枚補充した。
大瓶の中身はまだ9割以上残っている。
俺が一生遊んで暮らせるぐらいの価値のある瓶。
でも、こんなものより、俺は水都に帰って、海に還りたい。
今はそう思うだけだ。
銀色の大瓶。
きらきらとした瓶を見ていたら思い出した。
この町に来て、レグとあった最初の日。
俺は夢を見てた。
青い瞳
銀色の髪
もし彼女がそうなら、ひょっとしたら俺の記憶が戻れば知り合いなのかもしれない。
今の俺は憶えていないけど・・・・
あの奏者、私の真珠姫のことをよくもまあここまで憶えていたものだ。
さて、あの奏者に伝えたものだろうか。
私の人魚姫を呼び出す方法を・・・・。
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