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精霊伝説:波紋を斬る者 ヴェル、災渦の日記 (+カヤ・ボーフォートのセルフォリーフの日記、アンジェリカ・ラッセルの偽島探検記+イシュケ、翠祀)
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『12日目の日記

この島に来てはじめて森に入りました。

毒蛇は危険と聞いていたのに、会ってしまいました。

聞いていた通り、一撃、一撃が虎さんも毒蛇さんも重かったです。

メリッサさんにアナザーライフをかけてもらってなかったら本当にきびしかったかもしれません。

でもそれ以上にショックだったのは、毒蛇さんに

毒蛇「毒気のある顔をしておられる・・・」

って言われたこと。

アンジェリカ、そんなに人相悪くなったのかな?

そんなに人相悪くないと思いたいけど。


それから、ずっと一緒だった偽妖精さんを手放しました。

でも緋魅さんは次のペットにとりつくみたいです。

だから、次のペットの蜂さんも緋魅さんって呼ばないといけないみたいです。


偽妖精さんはランドウォームさんに負けた後、とってもやるきがなかったので、

多分あたらしいペットにする方がやるきが出るんじゃないかなって思ったけど、当たってました。

次回からは蜂さんと一緒です。


それから、フローラお姉ちゃんとケサちゃんと合流したのですが、ケサちゃんは召喚も使えるようになってました。

びっくりしました。

アンジェリカもちょっとずつ弓の練習してるけど、そんなに新しいことが出来るようになったわけじゃないし。

もうちょっといろいろ出来るようになりたいなとおもいました。


あと、パパのナイフをリボンの飾りにしました。

本当はずっと大事にしておきたかったけど、仕方ないかな。

ママのワンピースも悩んでます。

だって、この島で作ったものは外に持ち出せないって言うし。

ママのワンピースを混ぜちゃったら、この島を裸で出ないといけないかもしれないし。

もう一枚、小さな建物の101号室に服を置いてあるんだけど、それをずっと着て家まで帰るのもつらいな。



あと、最近SPが減り易いので、技の調整に困ってます。

ティアリスお姉ちゃんに青い宝石から装飾を作ってもらおうと思ってるけど、まだどうなるかわかりません。

作ってもらえるといいな、と思います。


島は少しずつ寒さが厳しくなってきました。でも、遺跡内はいつも同じような気候のように感じます。

一年中蟋蟀さんが出たりするし。

寒いのが苦手なアンジェリカにとってはちょっとうれしいですけど、寒い時期でも同じように食べ物が痛むのはちょっと困

ります。

お料理がもたないので、たびたび遺跡外に出て食料を買いなおさないといけません。

次に遺跡外に出る時にはまだ寒い時期だけど、その次に遺跡外に出る頃には暖かくなっているといいな。』




「でーきた。」

私がそういうとうれしそうに蜂が周りを飛び回る。
緋魅が言ってたけど、移ってからすぐは姿変えはできないかもしれないみたい。
何日か経つと姿変えができるって言ってた。

多分、緋魅は

『日記、書けましたか?』

っていいたいんだろうな。

「日記書けたよ。」

って声をかけたらうれしそうに飛び回ってた。
こうしてるといつもの緋魅じゃないみたい。
蜂さんはそのままぶんぶん飛んで部屋の隅のほうに行っちゃった。


小声で少しだけ囁いてみる。

「ねぇ、緋魅、これは独り言だから聞こえてても聞こえないふりしてね。
 ちょっとだけね。ほんのちょっとだけ、声に出したくなっちゃった。」

蜂はどこかに行ってしまったみたい。どこにいるかわからなくなっちゃった。
聞いてるのか、聞いてないのかわからない。
だけど、小さな声ならいいよね。

「・・・・おうち・・・・帰りたいな。」

声に出したら、涙が出てきた。
泣くつもりじゃなかったのに。

「マーマ・・・」

こんなところで泣いたって何も変わらない。
わかってる。
泣いたって帰れるわけじゃない。
だけど、涙が止まらなくて・・・
13.jpg
「う・・・・うう・・ひっく・・・・・マーマ・・・マーマァ」

呼んじゃダメ。
呼んだってママは来てくれないんだから。
もっと強くならなきゃいけないんだ。
こんな程度で泣かないぐらい強くならないと

「泣いちゃだめ・・・っく・・・う・・・強く・・・ひっく・・強くならないと・・・帰れないんだから。」

帰りたい・・・・帰りたい・・・
ママに会いたい。
パパに会いたい。
会って、いろんなことお話したい。
ママにおかえりなさいって言ってもらいたい。会いたかったって言ってぎゅってして欲しい。
パパによくやったなって言われたい。偉いぞって頭を撫でて誉めて欲しい。

「ぅ・・・・う・・・ママ・・・・」

ママと一緒にケーキを作りたい。
焦げたケーキでもいいからママと一緒に食べたい。

パパに、もう大丈夫って言ってもらいたい。
パパがついてるから何も怖くないって言って欲しい。

「だめ、泣き止まないと心配かけちゃう。」

ここは遺跡の中。
パパやママはいない。
いるのは・・・

「フローラおねえちゃんやケサちゃんに心配されちゃう。」

ケサちゃんだって頑張ってるんだから。
でも・・・でも・・・

「ケサちゃんは・・・・ケサちゃんは家族が一緒だもん。」

家族って言ったらまたパパとママを思い出して涙が出てきた。
そして、アグライア様とアイリーン様と・・・



ふいに涙が止まった。

思い出したから。
アンジェリカのやるべきことを。

「アンジェリカが頑張らないと、ママがいじめられちゃうものね。」

そう。
アンジェリカは立派な当主にならないといけないんだった。
一族の中で一番立場の弱いママを守るために。

すぅっと息を吸い込む。
両手でパンっと頬を軽く叩く。

「しっかりしなきゃ!」



☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆



ママがいじめられる?
一体何のことだろう。

人型をとるにはもう少しだけ時間がかかる。
次の戦闘には間に合うと思うが・・・・
緋魅はこんな時に頭をポンッと叩いてあげることの出来ない今の自分が歯がゆかった。

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