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精霊伝説:波紋を斬る者 ヴェル、災渦の日記 (+カヤ・ボーフォートのセルフォリーフの日記、アンジェリカ・ラッセルの偽島探検記+イシュケ、翠祀)
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屋根の崩れた廃墟

一人の男がそこで待っているはず。

優しそうなその男の人は仲間のために道を閉ざすと言った。

剣を構えるその人を前に皆は策を練る時間を取った。


そして、今、あの男に再び出会う。

フローラお姉ちゃんの髪はいつもより輝いていて、手に持った斧も輝いている。

その横にいつもの緋色の髪の姿はない。



「マスター・・・・・・練習試合の時には来ると言ってました。」



水色の髪。
氷彌さんがフローラお姉ちゃんの横に立っている。


「そっか。練習試合には付き合ってくれる事になってるものね。」




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ここでダイスロール
呟いているダイス 1d2 の出目でシナリオが変わります。

1.ハッピー
2.波乱

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結果
【つぶやき】

アンジェリカ「日記ダイスロール[1d2:1

アンジェリカ「1ならハッピー、2なら波乱。」
 

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==ダイス1.ハッピーシナリオ==
「本当に!パパが帰っていいって言ったの?」


「えぇ、貴女を一人島に送ったことを後悔していましたよ。」


そういいながら、緋魅はパパの語ったことを伝えてくれた。

貴女の考えていることはほぼわかっていると。
アグライア様が子を成さない。祭主のアイリーン様も子を成せない。
次に継承権のあるオーレリア様・・・貴女のご母堂ですね。
ご本人はともかく、ご夫君はオーラの色こそ赤とは違え、特殊な銀色。
特殊な能力は多いに発揮され、人を統率する力もあり、人々の信望も篤く、ラッセルの家を支える重責を担える最適の人材。
お子まで居る。
アグライア様をそのまま当主のままで居させたい勢力と、貴女の家を担ぎ出そうとする勢力。
そのせめぎあいの中で、アサシンも多数送り込まれたようですね。
ほとんどは貴女の御父君が撃退されたようですし、呑気な貴女のご母堂は察知もされていないようですが。


「おそらく・・・貴女の中の血があの家に変革をもたらそうとしていたのだろうとおっしゃっていました。
私はそれを聞いたとき、貴女の魅了の力が周りを狂わせて、貴女を当主につけさせたいと思わせているのかとおもいましたが・・・
まさか貴女の力が変革だったとは・・・。
確かにずっと直系だけが引き継ぐことはある意味では脆いですからね。」


御当主であるアグライア様が強固に結婚を拒まれたのも、貴女の力ではないかと・・・

悪い事に度重なる襲撃に貴女自身も家族が狙われる今の家のあり方、家そのものを象徴する当主に敵意を抱きはじめていた。
だから、力をつけるために家を離れたのだろうと。
おそらく簡単には戻らないだろうと。
簡単に戻らないために失踪・・・または追跡を逃れるために死を偽装さえするかもしれないとさえ言っておられましたよ。


「見抜かれてますね。さすがに。」


「・・・・・パパなら見抜くかもしれないって思ってた・・。」


ただ、御父君は貴女が家を離れることで、あの家の流れは変わる。
アグライア様が結婚を受け入れ、御子を授かれば、あの家の現状を維持する勢力が勢いを増すだろうと。


「貴女の力をもっと早く封じておけばよかったと・・・そう言っておられましたよ。」


「じゃあ、本当に?」


「えぇ、貴女が家を離れてすぐに歪な場が修正を求めたのだろうと。
御当主はすぐにご結婚を決意され、すぐに御子を授かられ、無事に生まれ・・・
もはや貴女の御父君や御母堂、そして貴女に家を継がせようとする勢力は力を失いました。
だから、貴女は家に帰れるのです。」


パパがそういうのなら、本当にそうなのかもしれない。
ママには力が無くても(本当はパパが封じてたみたいだけど)、アンジェリカには変に力があるって言われてたし。
でも、あの家を変えないといけない気がするのに、こんなにあっさりと片付いていいんだろうか?


「で・・・・どうされますか?この島を離れて家に帰られますか?」


「・・・・緋魅はアンジェリカと一緒にいるのは怖い?アンジェリカの力は卵さんを変えちゃうかもしれないよ?」


そういうと緋魅は少し考えて・・・・そして、頭を左右に振った。


「いいえ、私は確かに変化を恐れていましたが、それはこの島によってもたらされる変化。
あの卵の中にいるあの娘の運命はできることなら変わって欲しい。
あの娘には変わって欲しくないけど、あの娘の運命は変わって欲しい。
だから、貴女に賭けます。
歴史ある家の伝統すら、ただそこに居るだけで打ち砕こうとしていた貴女の力に。」


あの娘を・・・・華煉を救って下さい。マスター。

(続きます)



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==ダイス2.波乱シナリオ :没になりました。==



「・・・・嘘ばっかり。」


ぽつりと零れた言葉が部屋の温度を複雑に変える。
緋魅も緋魅の中にいる氷彌さんも少し感情的になったのかもしれない。
急に暖かくなった部屋。
急に冷たくなった部屋。
緋色にそして蒼色に揺らめく光。


「何が嘘なんですか?」


無理に感情を殺した声だった。
それとも緋魅のなかで緋魅と氷彌さんがせめぎあってそれぞれの感情が互いの感情を打ち消しあってしまったのかもしれない。
どこか客観的にそんなことを考えてた。


「マスター?」


そう。
答えなきゃ。

アグライア様が結婚なさらない理由
パパが帰ってきていいなんて言わない理由

でもどうして緋魅が嘘をついたのかわからない。

アンジェリカが素直に今のまま家に帰ると緋魅に何が起こる?
今のアンジェリカでは何も変えられない。
緋魅が力を貸してくれても何も変わらない。
今帰ると言うことは現状を受け入れるってこと。
緋魅がそれを勧めるのは何故?

ついてくるのが嫌になったんだろうか?

それなら・・

それなら・・・・


「マスター」


「・・・・・要らない。」


「マスター?」


「なんでもない。」


なんでもないことなどない。
一度こぼれた言葉は重みを持ってしまう。
どうしてこんな言葉がこぼれたんだろう。

信頼しかけてたから?

あぁ、でも、決めつけすぎているかもしれない。
一人で考えすぎているかもしれない。
話そう。いろんなことを。


「アグライア様はね・・・」


あの方にはとても好いた方がいらっしゃったの。
でも、結婚は出来ない相手で。
だから独身を貫かれていたの。
相手?
人間じゃなかったの。
それだけでもうちの家では結婚できない理由になるわ。
だって、アグライア様は御当主になる方ですもの。
それにその相手もね・・・
もうこの世には居ない。
死んだの。
殺されたの。
アグライア様に。
そう。
一番愛した方を手にかけたの。
だから、アグライア様は結婚などされない。
人間じゃないものに穢された。
穢れをはらうためにアグライア様はその相手を求めて彷徨った。
音信不通になった。
だから、ママがアグライア様の代わりに当主候補になったの。
ママが腕を磨いて帰る前にアグライア様が戻られた。
穢れを祓って。
穢れは祓われたけど、心は持っていかれた。
相手を殺した時に一緒に奪われた。
心を殺してしまった。
だから、アグライア様は頑として結婚を拒まれた。
それにあの方は自らの身体の穢れをすべて焼き払われた。
だから・・・・
だからね・・・・
あの方は妊娠できないの。
パパでも治せなかったの。
お子が生まれるわけはないの。



緋魅が驚いている。
一気に話したから?
でも、まだ聞いてもらわなきゃ。


「それに・・・パパが帰って来いなんて言うはずないの。」

(続きます)

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