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精霊伝説:波紋を斬る者 ヴェル、災渦の日記 (+カヤ・ボーフォートのセルフォリーフの日記、アンジェリカ・ラッセルの偽島探検記+イシュケ、翠祀)
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『33日目の日記

お買い物をしました。
たくさんお金をもっていたのに、あっという間に使ってしまいました。
欲しいものは手に入ったけど、ちょっともったいなかったかな?

あと、はじめて ホタル というものをみました。
みんなは綺麗って言ってたけど、ちょっと怖かった。
あとで聞いたら、あの虫は虫を食べるんだって。

宵闇に光る命はやっぱり闇の住人なのかな?
って言ったら笑われました。
どうして笑うの?って聞いたら、自分が普段食べている物は何?って聞かれました。

アンジェリカは動物だけど、うしさんやとりさんを食べる。
ホタルは虫だけど、虫さんを食べる。
そうだね。
人も同じだね。

ホタルの宵にいろんなことを考えさせられました。
ただ、ホタルはもういいかな。』


「書き終わりましたか?」

いつもと同じいい香り。
紅茶が用意されていて、今日はマフィンが用意されている。

「こんなに食べたら太っちゃう。」

そういいながらもついついマフィンに手が伸びちゃう。
だって、氷彌さんの作るお菓子は美味しいんだもん。

「マスターは少しふくよかになられた方がいいですよ。」

氷彌さんはアンジェリカが美味しそうに食べるといつもとてもうれしそうにしてくれる。
緋魅の分身みたいなもののはずなのに、いつもとても優しい。

「そうですね。もう少しふくよかになって、女性らしい体つきになるほうがいいかもしれません。
今のように短剣と弓を鍛えていたら、筋肉質になってしまうかもしれませんし。」

「筋肉質って、ティアリスお姉ちゃんのところにいったプチ忍者さんみたいに?」

そういったら二人とも笑ってた。
こういう時間がとても好き。




「伺ってもいいですか?」

氷彌さんがお茶の片付けにいったときに緋魅がそっと尋ねてきた。

「なぁに?」

「貴女は何と戦おうとしているのですか?」



☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆



「貴女は何と戦おうとしているのですか?」

今まで楽しそうにしていた彼女の表情が少し翳った。
こんな表情をさせるつもりはなかったのだが・・・いつかは聞かなければならないことだ。

この島を出たあとも助力を求めるとはそういう意味だ。
複雑な家だと聞いている。
私は彼女が家長を継ぐつもりなのかどうかも知らない。

少し考えて彼女はこう答えた。

「わからない。」


☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆


何と戦おうとしているんだろう。
何と?
降りかかる火の粉は払いのけなければならない。
だけど、火の粉を降りかけてくるのは「誰?」
それとも「何?」

考えてもわからない。
わからないから、そう答えるしかなかった。

「わからない。」

緋魅は少し困った顔をしていた。
だけど、すぐに聞いてきた。

「では、質問を変えましょう。貴女は何のために戦うのですか?」

ああ、これなら答えられる。

「ママを守るために。」


☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆


ママを守るため。
確か前もそんなことを言っていたような気がする。
何と戦うかわからないということは、具体的な何かがあるわけではなく、母親が非常に危うい立場にいるということか。
敵が誰かわからないのであれば・・・

「では、貴女の味方は?」

これにも即答。

「パパ。」

父親は確か凄腕の癒し手だといっていた。
話を聞く限りでは、魔法の使い手としても相当できそうな男らしい。
母親も(相当不器用らしいが)銃、攻撃魔法、回復魔法、召喚魔法の使い手だと聞いた。
魔法鍛冶もできるのだと。
彼女がこの島で魔法を鍛えようとしないのは、魔法以外の攻撃手段を身につけるためなのだろう。
だが、盾になるには彼女は非力すぎる。
だから、彼女は敵の気配を肌で感じて避ける能力を鍛えようとしているようだ。
ペットというハンデをつけても避けられるように。
しかし、それだけでは足りないだろう。

「他に貴女の味方は?」

今度は少し考えていた。
が、答えは思ったよりも早くやってきた。

「レイモンド叔父さんとアイリーン様。」

彼女はまだ気づいていないのだろうか?
答えられると言うことは理由はなくとも敵味方を判断したと言うことだ。
味方となるものを考える時に彼女の頭の中にもう一つ別のことも浮かんだはずだ。
だから聞いてみる。

「では、その方々を除いて、敵に回すと手ごわい相手は?」

彼女はさらに考える。
そして、答えた。

「ヴィクター大伯父様とアグライア様。」

きっと彼女も気づいたはずだ。
彼女が畏れている相手。
畏れている何か。

ラッセルという家を象徴する先代家長と現家長。
当面の敵が誰なのか、これではっきりした。


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