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精霊伝説:波紋を斬る者 ヴェル、災渦の日記 (+カヤ・ボーフォートのセルフォリーフの日記、アンジェリカ・ラッセルの偽島探検記+イシュケ、翠祀)
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「ほたる???なぁに?それ。」

「綺麗な水辺に住む虫ですよ。
東国では宵闇に舞う姿が風情があるといいますが、西国ではあまり良いものと思われていないようです。
今夕、東の方の国の風習に則って水辺で蛍の舞う姿を鑑賞する宵祭りがあるそうです。
たまにはお祭りに参加されてみても良いのではないですか?」

「ふ~~ん。よくわからないけどお祭りは楽しそうね。ケサちゃんも行くのかな?」

「さぁ、よくわかりませんが、行くならこれに着替えて下さいね。今日は東国の衣装で蛍を楽しむのだそうですよ?」

緋魅が出してきたのは青地に白い魚の模様のある平べったい布。

「これ・・・服なの?」

「えぇ、服ですよ。大丈夫。私が着付けてあげますから。」




  Event : アンジェリカは【蛍火の宙】に参加した。
angelica16.jpg

そこにはすでに多くの人がいた。

夜店もたくさん。
金魚すくいをする人、ヨーヨー釣りをする人、綿菓子やりんご飴を買っている人。
いろんな人達が。


「これって単なるお祭り?まぁいいけど。」


そういうアンジェリカもすでに綿菓子を食べ終わったところだ。


「いえ、今宵の主役はこちらですよ。足元に気をつけて。」


そう言って、緋魅が手を引いてくれる。
喧騒から少し離れた川辺。
このあたりは人も少ない。


「ここに何があるの?」


「しっ、静かに。いますよ。ほら、よく見て。」


そっとあたりを見渡すと、夕闇の中にふわふわと漂うかすかに光るものたち。


(あれが蛍ですよ)


小さな声で緋魅が囁いてくれた。
川の流れる音
どこからともなく響く蛙の声
そしてかすかに光る蛍たち。


「いかがですか?」


「不思議。不思議ね。ちょっと寂しいような。不思議な光景。」


蛍たちが静かに舞う。


「緋魅。」


「なんですか?」


「ちょっと怖い。どうしてだろう。遠くから見ると綺麗だけど、近くに来るととても怖い。」


緋魅がそっと腕を振った。
それだけで蛍たちは少しずつ遠ざかりはじめた。
宵闇の中、少し離れたところを舞う幻想的な光を二人は見ていた。


「緋魅」


「なんです?」


「ありがと。」


「大したことではありませんよ。」


「緋魅」


「どうかされましたか?」


「私と一緒にいてくれる?」


「えぇ。必要としてくださる限り一緒にいますよ。」


「緋魅」


いつもと違う?
緋魅は少し訝しげにアンジェリカの顔を覗きこんだ。
目と目が合う。
自信のなさそうな・・・だけど、真摯な瞳。
こころなしか唇をきゅっと噛み締めて・・・
話さなければならないこと。だけど、何か話したいことを秘めているかのように。

緋魅はしゃがみこんで、アンジェリカの顔を下から覗き込むように目と目を合わせた。


「おっしゃってください。その気になれば私も氷彌のように貴女の心のなかを読めます。
 ですが、それはしたくない。
 貴女自身の言葉で私に伝えて下さい。
 どれほどたどたどしくても構いません。どうか。マスター」


迷いが見て取れる。
だけど、話さなければならないことならば、きっと彼女は口を開く。
彼女が決意するまでの時間をじっと待つ。


「ついてきて欲しいの。この島を出てからも。」









言葉を伝えて、目をぎゅっと瞑る。
頭の中でいろいろなことが思い巡る。

いつからだろう。
こんなに頼ってしまっていたのは。

遺跡内の戦いの中で緋魅と氷彌さんに頼りきっている。
それではいけないの。
アンジェリカの本当の戦いはこの島を出てから。
あの家に帰るまでに決めなければならない。

跡目を継ぐのか、それとも父母を連れてすべてを捨てて逃亡するか。
どちらにしても自分には強さが必要なはずで。


緋魅と氷彌さんを手放せるほど自分が強ければよかった。
二人に頼らなくても集団を蹴散らせるぐらい強ければ。
Achtお兄ちゃんやシュライクさんやフローラお姉ちゃんのように。
でも、アンジェリカの力では足りない。
そして緋魅と氷彌さんがいなければ、ギルド内で足を引っ張ってしまうだろう。
それは本位ではない。

それに強い敵と対峙する経験も必要なのだ。
たとえ、緋魅と氷彌さんの壁に隠れた後衛であっても。

だから、二人を手放せない。
手放さない場合どうしても頼ってしまう。自分一人で克服できるほど強くなれる気がしない。
どうすればいい?この先。
そうすればいい?本当の戦いに向かう時に。


安易かもしれない。
だけど、二人が一緒に来てくれるなら。
緋魅も氷彌さんもこの島の外でどれだけ自由に力を揮えるのかわからない。
それでもいい。
表向きは自分しか戦っていなくても、一人で悩んでいる時に二人が相談にのってくれるだけでもいい。


自分には味方が必要だ。
絶対に裏切ることのない味方が。







「ついて行っても良いですよ。」






目をぎゅっと瞑ったアンジェリカの耳に響く応じる声。

断られても仕方のないことだと思っていた。
伝えたら二人は呆れて自分から去ってしまうかもしれない。
それが怖かった。

ゆっくり目を開ける。

緋魅は立ち上がりながら、さらに言った。





「ただ、この島のものは何も持ち出すことが出来ません。今はこの島にいる生命体の身体を借りていますが、外に出た時に私がどうなってしまうかはわかりませんが。
まさか、貴女の服に取り憑いて島から出るわけにもいきませんしね。
さて・・・何に憑依したものか・・・・・」


「ほんとに?本当についてきてくれるの?」


まだ、半ば信じられない。
魅縛はしたものの、緋魅自身が面白がっているからついてきているのであって、アンジェリカの魅縛から抜けようと思えばいつでも抜けられる力を緋魅は持っている。
そのぐらい復活していることは気づいていた。
だから、怖かったのだ。

その心を読んだかのように緋魅はふっと微笑んでこういった。



「貴女についていくのは面白そうですから。」





蛍たちの舞う宵に
かすかな光が灯る星空の下。
背の高い細い影に小さな影がしがみついて、しばらく離れなかった。






これがはじまり。
終わりの始まり。




(緋魅さんは焔霊なので性別ありません。あえて言うなら女性です。)
(プロフ絵はね・・・修正したかったけど、ふと気づいたら作業途中までしか保存してなかったんだ・・・・orz
 もう描き直すの面倒くさい。ロゴも入れてないし。捕捉からは外しておいてください)

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