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精霊伝説:波紋を斬る者 ヴェル、災渦の日記 (+カヤ・ボーフォートのセルフォリーフの日記、アンジェリカ・ラッセルの偽島探検記+イシュケ、翠祀)
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その後・・・・彼女の姿を目にしたものはいなかった。」


一つの話が終わり、ろうそくが吹き消された。
これで9本目。
のこり1本のろうそくが吹き消されたら・・・何が起こるんだろう?


False Island Day 40 幽明一夜


切っ掛けはまた緋魅がどこかからイベントがあると調べてきたことから。
しかし、よくそんなにイベントを見つけてくるものだと感心する。

百物語というのも緋魅が教えてくれた。
何人かの人が集まって怖い話を100話すると何かが起こるとか。


緋魅「暑い時には怖い話をするというのが東の国の風習なのですよ。」
 

アンジェリカ「ふーん。でもそんなに人が集まるのかしら?」
 

緋魅「人は私が集めます。ちょっと貴女の姿を借りますけど。でも・・・集まってもせいぜい20人強だと思いますよ。怖い話を4話位用意できますか?」
 

アンジェリカ「・・・・うん。頑張ってみる。」
 


そして夕方、日の陰る頃に緋魅に指定された場所に向った。
遺跡外の魔法陣のそば。
川のそばの小さなコテージ。


氷彌「マスター・・・いらっしゃったんですね。」
 


なぜか氷彌さんは一生懸命オードブルのような物を並べていた。
お寿司とお刺身というものらしい。
それとスイカ。


氷彌「間もなくお客様がいらっしゃると思うので。少し待っていてくださいね。」
 


その言葉が終わる頃に外に人の気配。

緋魅ってば、どこからこんなに人を呼んできたんだろう。
見たことある人もいれば、見たことのない人もいる。
本当に30人近い人が集まって、作っていたオードブルはあっという間になくなってしまった。


緋魅「マスター、そろそろ始めますよ。」
 


そういって、10本のろうそくが用意された・・・



☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆



それからもう2時間ぐらい経っただろうか?
10話ごとに消されるろうそく。
本当は1話ごとに吹き消すものらしいけど、最初から暗い方が雰囲気が出るからって。
ときどき息を呑んだり、「きゃっ!」っていう声があがる。


アンジェリカにも順番がすでに3回回ってきた。

1回目は奇妙な病院に住む死体を切り刻む医者の話
2回目は生贄として湖にささげられた少女を悼んだ竜神が近くの村の人々に襲い掛かる話
3回目は宝珠に閉じ込められた古い神々と新しい神々の戦いと呪いの話

他の人の話は
古い古い人形の話。
住む人を狂気に誘う呪いの館。
井戸から現れる女性の幽霊。
合わせ鏡から現れた自分と似てるけど違う影の話。
湖に来た若者に襲い掛かる殺人狂の話。
長い時を生きるバンパイアの話。
 ・
 ・
 ・

怖い話もあれば、哀しい話もあった。
そろそろアンジェリカに4回目の順番が回ってくる。
次は何の話をしよう。
他の人と似たような話しか思いだせない。
だけど、何か一つ話さなきゃ。

川の流れる音がする。
魚の跳ねる音も・・・・

水の音
あぁ、あの話にしようかな・・・



「・・・・必死に家に帰りついた彼女は、家に帰り明かりをつけほっとした。
 そして、愕然とした。
 灯りの下でははっきりと見えたのだ。
 彼女の服の袖には・・・赤い血のような手形が・・そして彼女の足首にも赤い血のような手形がついていた。

 彼女は悲鳴をあげて服を脱いで、そしてまた悲鳴をあげた。
 服を着ている時には見えていなかったが、背中には血で記した文字が書かれていた。
 あのとき背中に感じた気配はこれだったのだ。

 そこに書かれていた文字は・・・・

 『また、明日』」



考えている間に、前の人の話が終わった。次はアンジェリカの番だ。


「これは15年ぐらい前に私の伯母が体験した話です。

その頃伯母はギルドに所属していろいろな地へと戦いのために派遣されていました。
幸い槍の名手だったので、特に危ういこともなくいつも帰ってきたのですが、そのときはパーティの一人が行方不明になったそうです。

みんなが心配していたのですが、彼は一週間ほど遅れて帰ってきました。
皆はどこへ行っていたのかとたずねましたが、彼はちょっと失敗して道を外しただけだと言っていました。
迷子なんてかっこ悪いなどと冷やかしながら、みんなパーティがまた揃ったことに喜んでいました。

しかし、彼が戻ってきてから何かがおかしいのです。

夜中に食料が減っている。
荷物が荒らされている。

ある日、仲間の一人が夜中に・・・ずるっ・・・ずるっ っという何かを引きずるような音で目覚めました。
何かが廊下にいる。
この音の主が夜中に食料を荒らしているのでは?
そう思った彼は起きてドアを開けようとしました。
そのとき床がきしんで ぎしっ という音を立てました。
すると、廊下で鳴っていた何かを引きずるような音が途切れました。
気づかれたと思いましたが、捕まえられなくても正体だけは確認しようと彼はドアを開けました。
しかし、そこには何もいませんでした。

次の日の朝、食料や荷物は荒らされていませんでした。
彼は仲間に昨日の夜に聞いた音の話をしました。

パーティの面々はその日から寝ずの番をすることになりました。

荷物荒らしはその日からぴたりと無くなりました。

数日後一人が気づきました。
荷物は確かに荒らされていない。
食料も荒らされていない。
だけど、食料はほんの少しだが減っているような気がする。

彼は信頼できる仲間一人にだけその話をしました。
彼ら二人は様子を見て、仲間うちの一人に目をつけました。
それが数日間行方不明だった仲間。
彼が当番になる日にどうも減っているっぽい。

そこで二人は怪しい仲間が寝ずの番をする日に寝た振りをしてこっそりと起きておくことにしました。

夜になって、二人は食料庫にこっそりと隠れました。
どれくらい時間が経ったでしょうか。
おそらく深夜の0時を過ぎる頃、廊下から不思議な音がしました。

ずるっ・・・・・ずるっ・・・・ぴちゃ・・・・ずるっ・・・・

前に仲間が言っていたような何かを引きずる音。
二人は目をあわせて、息を潜めて様子を伺いました。

ずるっ・・・ぴちゃ・・・・ずるっ・・・・・ずるっ・・・ぴちゃ・・

音はどんどん近づいてきます。
不思議なことに何かを引きずるような音の間にごくごくわずかですが、水がこぼれるような音がします。
二人は灯りを消して闇の中で待機しました。

ずるっ・・・・ずるっ・・・・ぴちゃ・・・・ぴちゃ・・・ぴちゃ・・・・きぃいい

食料庫のドアが開きました。
廊下の明かりで逆光になっていますが、間違いなくあの仲間です。
逆光でよくわかりませんが何やら重たい物を引きずって歩いてきたようです。
あのずるっと言う音はそれだったのでしょう。
しかし、あの水音は?

パタン・・・ずるっ・・・ぴちゃ・・・・ずるっ・・・・ぴちゃ・・・

ドアが閉まり、闇の中で引きずるような音が響き・・・

ガサガサ・・・ぴちゃ・・・ぼりっ・・・・ぴちゃ・・・・ぼりぼり・・・・ぴちゃ・・・・

食料の袋をあけて、食べ始めましたようです。
二人は事前に打ち合わせていた通りに、食事の音を合図に灯りをつけました。

パッ

ばさっ!びちゃびちゃびちゃびちゃ・・・・

灯りをつけた彼らの目に飛び込んできたものは・・・

投げ捨てられた食料の袋
そして・・・・・彼らの仲間の面影を持った鱗と長い尻尾のようなひれの生えた半魚人でした。
引きずっていたのは物ではなく、ひれだったのです。
びちゃびちゃという音はその身体から滴る液体の音でした。

二人はあとを追いましたが、意外なほど早いその足に追いつくことが出来ません。
やがて

ドッボーン

彼ら二人の行く先で何か重たいものが水に落ちるような音がしました。
駆けつけた彼らの目の前には川が。

戻って彼の部屋を探って見ると、彼の部屋の中から魚の骨がいくつも出てきました。
ベッドはバケツをひっくり返したように水で濡れています。

翌日、起きてきた仲間たちに事の顛末を話しました。
彼らは手分けをして川を捜索し、川の上流で足を怪我して動けなくなっていた仲間を発見しました。

彼によると崖から落ちて動けなくなっている彼のところに毎晩あの魚人が食料を持ってきてくれていたそうです。
いたずら好きの魚人は彼に化けて人の暮らしにもぐりこみ、彼に運ぶ食料を盗むついでにつまみ食いをしていたようです。
最後に川に飛び込む前に魚人は彼にお詫びの印に玉石を一つ渡して行ったそうです。

当然のように彼はしばらく監視されました。
今度こそ本当の彼なのか、誰にも判断出来なかったためです。
数日たって、仲間達はようやく彼を仲間と認めました。

彼が魚人から貰った玉石はそれを磨くと天気が良くなり、それを水につけるとたちどころに雨が降ったそうです。
それを使って、彼らはいくつもの仕事をこなしたそうですが、それはまた別のお話。



ここまでの話を伯母はめでたし、めでたし・・・と言って話してくれました。



しかし、彼は本当に元の彼だったのでしょうか?
そして、彼と一緒に行動していたパーティの面々は本当に元の彼らなのでしょうか?

肉や野菜が大好きだった伯母は、その旅から帰ってきたあと、魚が大好きになっていました。
そして、火のそばにはほとんど近づかず、ある日突然家を出て3年ほど行方不明になっていました。

3年後に戻ってきた伯母は、肉や野菜の好きなみんなの知っている通りの伯母で、なんと、この7年ぐらいギルドから戻ってきていないといいました。

では、あの話をしてくれた伯母は一体誰だったのでしょうか?
それは未だに誰にもわかりません。」


本当はこの話・・・・もっと気持ち悪い話なんだけど・・・・・。
闇の中で食料庫で食べられていた物はもっともっと怖いもので、食べていた何者かも実は魚人じゃなくて、もっともっと気持ちの悪いものなんだけど・・・・・これ以上怖くすると洒落にならないよね。

びちゃ・・ずるっ

とか話している時に外の川で魚の跳ねるような音がして、それだけで悲鳴あげている人もいたし。
うん、このぐらいにしよう。


怖い話もあと5つで100話
一体何が起こるんだろう。


そう思いながらもあとは聞くだけなので、ちょっとほっとしてた。


やがて・・・・100話目が終わり、いよいよ最後のろうそくを吹き消そうとしたとき、
どこからともなく風が吹いて、誰が消すわけでもなくろうそくの火が消えた。

誰かが慌てて立ち上がって、闇の中で転んだみたい。
そして、悲鳴が上がる。

このあとは緋魅が灯りをつけることになっているはず。
だけどみんなパニックになってる。


アンジェリカ「緋魅。早く明かりをつけて。」
 

そういうと、闇の中でぽっと火が灯る。
緋魅のつけた灯り。


シュッ


という音がして誰かがろうそくに灯りをつけた。
氷彌さんだ。

さらに部屋の中が明るくなる。
みんなは口々に今起こったことを話している。
中には半狂乱になっている人もいたけど、ろうそくの火がついてから徐々に騒ぎは収まっていった。


緋魅「今日の百物語はこれで終わりです。ありがとうございました。」
 

パニクってた人々も徐々に散り散りに帰り始めた。


緋魅「私と氷彌は後片付けをしてから戻りますが、一人で先に帰られますか?というか、派手にコテージごと片付けますので、残られると困るので問題なければ先に帰っていただきたいのですが。」
 

派手に片付けると言う事は・・・・コテージごと燃やすつもりみたいね。
なるほど。それで川の傍か。


アンジェリカ「大丈夫。それじゃあ先に帰ってるね。」
 

そういって二人と別れて帰路についた。

一人で帰る途中で空を見上げた。
夏の夜空は星が綺麗で、吸い込まれそうに綺麗だった。


☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆


星を見ながらゆっくり戻ると緋魅が迎えてくれた。


緋魅「遅かったですね。どこへ行かれてたのですか?」
 

アンジェリカ「星が綺麗だったからゆっくり帰ってきちゃった。追い抜かれちゃったね。でも百物語って終わっても特に不思議な事起きなかったね。」
 

緋魅「百物語?何かのイベントですか?」
 

アンジェリカ「えっ?」
 

どうも話がおかしい。
慌てて聞いてみると、緋魅と氷彌さんは今日は調べないといけないことがあって、夕方まで出かけていたらしい。
夕方に戻るとアンジェリカがすでにいなくて、心配しながらずっと待っていたとか。


アンジェリカ「じゃあ、今日一緒にいたのはいったい・・・・。」
 

考え込んだ私に緋魅はこういった。


緋魅「不思議な事もあるものですね。ずっと話をしていたなら、お腹が空いているんじゃないですか?今日は魚を用意しておきましたよ。」
 

そういって用意されたのは魚のカルパッチョ。
焔霊の緋魅が火の通っていない料理をだすなんて珍しい。
それに料理を用意するのはいつもは氷彌さんなのに・・・・。

そういえば氷彌さんがいない。
未だにコテージを片付けているはずの緋魅と氷彌さん。
そして、今目の前にいる緋魅。

何が真実??
どちらが本物?
これが百物語の不思議?


・・・・さて、この料理、食べるべきか、食べざるべきか?
貴方ならどうする?


(イベントに参加してみました。シチュエーションは39回の文章コミュ参照で!)

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