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精霊伝説:波紋を斬る者 ヴェル、災渦の日記 (+カヤ・ボーフォートのセルフォリーフの日記、アンジェリカ・ラッセルの偽島探検記+イシュケ、翠祀)
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パチパチと暖炉の火がはぜる音がする。
ゆったりとした椅子に腰掛けた婦人は微笑んで小さな紙を見つめていた。


「叔母様。何を見ていらっしゃるの?」


婦人が声の方を振り返ると、茶色い髪、茶色い目をした少女が一人。
不思議そうな顔をしてまだ若い婦人を見つめていた。


「アリーシア・・・・御当主様といっしょに来られたの?」


やわらかな金髪の婦人が少女に話しかける。


「お母様はセオドア様とお話があるみたいで、叔母様のところで待っているようにって。」

「お父様と?」


少女は頷くと、椅子に座った婦人のそばにやってきた。


「見せていただけますか?」


婦人は微笑むと手に持った紙を少女に見せた。


「不思議ね。あの島のものは何も持ち出せないはずなのに。これだけは手元に残ったのよ。」


古びた写真に写っているのは二人の女の子。


「ひょっとして、叔母様?」

「10才のころだから、今のアリーシアよりももっと若いときね。」

「こちらの方は?」

「この方はね、とても仲のよかったお友達よ。」


アリーシアは驚いた。
いつも厳しく、そして優しい叔母様の頬を涙が伝ったから。


「アンジェリカ叔母様?」


声をかけられて、アンジェリカははっとしたように顔をあげて、自分の頬を撫でて涙に気づいた。


「あら、嫌だわ。どうしましょう。大丈夫よ。ただ・・・
 ただね・・・とても、とても懐かしかったから。」


そういって涙をそっと拭いた婦人の膝には1枚の古い色あせた写真。




 
 ange_kesa04.jpg





SummerVacation 夏のお祭り


今日は氷彌さんがいない。
すぐに戻ってくるらしいけど、緋魅が用事を頼んだからって。
だから、今日は緋魅がお茶を用意してくれた。


「明日は海のお祭りのようですよ。」


二人だけのお茶の時間に緋魅がそう切り出した。

お祭り。
そう、この島でも最大規模のお祭りがあるらしい。
つくづく、祭りの多い島だと思う。


「海はお好きですか?」

「う~~ん、よくわからない。うちの近くには海がなかったし。
遠い海には海賊が出るから、普通の人は泳いで楽しんだりできないといわれてたし。
湖にはなんだか怪しい生贄の伝説があったり、獰猛な魚人がいたから泳げなかったし・・・」


アグライア様は囮マグロ漁船に乗って海賊退治をしたこともあるみたいだけど、湖の敵と戦ったことはないとか。
オーレリア母様は一人で湖の敵と戦おうとして大怪我なさったとか。
所領内に泳げる場所がなかったこともあって、泳ぎなど一度も教えてもらえなかった。


「・・・・貴女の家のそばはどうなっているのですか?」

「ん?ラッセルの所領には湖とかなかったし。あくまで国の中での話よ。
東方のダリア島のそばは有名な海水浴場もあったけど、お父様もお母様もラッセル家の領地から離れられなかったし。

だから、海をまともに見たのはこの島に来るときがはじめてかな・・・潮の香りと海の青さ、波の高さに驚いたな・・・」


と少女は呟いた。


「そうですか。それなら浮き輪も必要ですね。用意しておきますよ。ですが・・・」

「ん?何?」


緋魅は何だか言い出しにくそうにしてた。


「私と氷彌は行けません。元々焔霊ですし、私から逆の力を引き出した氷彌は水を凍らせてしまいますし・・」


・・・なるほど。
確かに二人は水場でのお祭りなど参加できるはずもない。
でも、そうなると一人か・・・・


「一人だとつまらないから行かないでもいいかな・・・」

「ケサさんを誘われたらいかがですか?」

「ケサちゃん?」

「水着は二人分用意しておきますよ。貴女も海がほとんどはじめてなら、誰かと一緒の方がいいでしょうから。
 それに、貴女はギルドの方とせっかく一緒に行動されているのに、お祭りなどへは一緒に行ったりされていませんよね。
 他の方とも交流される方がいいのでは?ケサさんなら私達も安心出来ますし。」


そういわれてみたら、せっかくギルドに入ったのに、お休みの日はほとんど一緒に行動していない。
それもちょっとつまらない。

ギルドのみんな・・・ケサちゃんはきっと一緒に行ってくれると思う。

シュライクお兄ちゃん・・・礼儀正し過ぎてお菓子とか食べちゃダメって言われそう。泳ぎは教えてもらえそうだけど、お祭りに一緒にいくのってどうなんだろう?

鼠さんは・・・・ん・・・遊んでくれそうだけど、悪いこともいっぱい教えてくれそうだし、なんとなく綺麗なお姉さんを見つけたら放ったらかしにされそう。

猫さんは・・・海に行かなさそう。

ゼブさんは・・・・
男の人の中ではゼブさんが一番連れていってくれそうかな??
でも、ゼブさんは小さな女の子の面倒見るより、そろそろ綺麗なお姉さんと仲良くなって欲しい気がする。
だって・・・・アンジェリカのパパって言ってもおかしくない年なのに!
ギルド内にはゼブさんと年齢的につりあいそうなお年頃の女の人少ないし、こういうときに頑張ってもらわなきゃ!

女の人は・・・
・・・セラフお姉ちゃんは連れてってと言ったら連れていってくれるかもしれないけど、子どもの面倒見るのは大変だろうし・・・

ティアリスお姉ちゃんは誰かと約束してそう。

フローラお姉ちゃんにはなんとなく塩水が良くない気がする。

姫さんはふわっとしててつかみ所がないからよくわからないし、メリッサお姉ちゃんは・・・・水着着るのかな?
リーンちゃんは何かと忙しそう。


・・・・深く考えずにケサちゃんに声かけに行こうかな?


「ケサちゃん、一緒に行ってくれるかな?」

「きっと、一緒に行って下さいますよ。夜の花火には私と氷彌もお付き合いしますから。」


二人に背中を押されるようにして、ケサちゃんのところへ・・・・
ケサちゃんは一緒にいってくれるかもしれないけど、ラルゴさんとビリオーザさんはどうするんだろう?



☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆



「緋魅・・・」

「戻りましたか。目的は果せましたか?」

「多分・・・」


緋魅がそっと手を差し伸べて、そして、氷彌が溶け込むように緋魅と融合する。
元々二人は一つなのだから、離れていた間の記憶を共有するには一度融合する方が早い。


「なるほど・・・・・あちらはそんなことに・・・」

「マスターはケサさんと一緒に出かけられるのですね。よかった。」


一つの口から二つの声がする。
やがて、また二人に分かれる。


「緋魅・・・」

「大丈夫ですよ。彼女なら適応できるはずです。それよりも明日は二人で海に行くようですが、夜には3人で花火を見に行くのですから・・・帰ってきた時に浴衣に着替えられるようにしておきましょう。」

「話すの?」

「まだ良いでしょう。・・・良いはずです。」


そういうと二人は姿を消した。
赤い炎と青い炎が闇の中に小さく灯っていた。



☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆



「じゃあ、行ってくるね!」


夜のうちに帰ってきていた氷彌さんと緋魅に声をかけて海へ。


「楽しみ!ケサちゃんといっしょにアイス食べようっと!」




カキ氷もいいなぁ・・・・そんな声が聞こえたような気がして、氷彌は微笑んだ。

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