精霊伝説:波紋を斬る者 ヴェル、災渦の日記
(+カヤ・ボーフォートのセルフォリーフの日記、アンジェリカ・ラッセルの偽島探検記+イシュケ、翠祀)
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「何書いてんの?」
「ひゃっ!見ちゃダメ!!」
思わず日記を隠してしまったら、火耶はちょっと不機嫌そう。
「ケチ!」
そういうと緋魅と氷彌さんのほうに行ってしまった。
覗かれることがなくなったのでほっとしつつ、奇妙な状況に半ば困惑して未だ慣れることが出来ない。
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
63日目の戦闘が終わったあと、卵の殻が急に薄くなったとおもったら、音を立ててまるで風船のように弾けて割れてしまった。
中から出てきたのは一人の女の子。
赤ちゃんのように身体を丸めて眠っている。
・・・・アンジェリカより年下?かも?
「女の子?」
「・・・・そうですね・・・・『女の子』のようです。」
そういうと緋魅は目を瞑って天を仰いだ。
なんとなく声をかけちゃいけない気がして、しばらく緋魅のほうを黙って見ていたら、氷彌さんにぽんっと肩を叩かれた。
「緋魅はかすかに期待していたんです。仲間であって欲しいと。」
「?」
卵のように見えていたけど、あの殻のような物は華煉さんを包み込んだ結界。
それはアンジェリカがパパから受け継いだ能力。
そしてアンジェリカがママから受け継いだ能力は変革
華煉さんは人間に堕精していたけど、元は緋魅とおなじ焔霊。
だから、結界の中で変革した結果、人間として生まれ変わって出てくるか、焔霊として出てくるかはわからなかったらしい。
緋魅はアンジェリカが変革の力を持っていることに良いほうで期待していたらしい。
だが、結果は『女の子』
性別を持たない焔霊ではなく、人間として生まれ変わってきた。
しかも、変革されて華煉さんとは全くの別人に・・・
「緋魅はこれでこの世界に残されたたった一人の焔霊になってしまいました。独りぼっちになってしまったんです。」
「・・・・・アンジェリカと氷彌さんがいるよ?」
「マスター、そういう問題じゃないことはわかっておられるのでしょう?」
わかっていたけど、言わずにいられなかった。
一人ぼっちだなんて・・・・
一人は寂しいよ。
「大丈夫です。マスター。気を遣わせてしまいましたね。」
「緋魅・・・」
「それより、彼女が目覚めますよ。そういえば服も変わってますね。」
緋魅がいうには華煉さんは真っ白い飾り気のないドレスを着ていたらしい。
でも、眠る彼女が着ているのは、どちらかというとボーイッシュな服。
緋魅のいうように、まぶたがピクっと動いて、今にも目覚めそう。
「さて・・・どう声をかけたらよいものか・・」
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
・・・・寒い。
さっきまで暖かくて・・・・まだ起きたくないのに。
『・・・・』
『・・・・』
なんだろう。周りが煩い。
『・・・・』
『・・・・』
静かにして。もっと眠っていたいの。
『・・・・』
『それより、彼女が目覚めますよ。そういえば服も変わってますね。』
だから、目覚めたくないの!
『さて・・・どう声をかけたらよいものか・・』
もう!!
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
「静かにしてよ!まだ眠いの!!」
急に起きた彼女はそういうとくるっと背を向けてまた眠ってしまった。
びっくりした。
緋魅もびっくりしてる。
氷彌さんは微笑んで言った。
「健康そうですね。」
・・・・そういう問題じゃないと思う。
それから彼女は丸一日眠っていた。
『64日目の日記
新しい友達が出来ました。
名前は火耶と言うんだって。
緋魅が聞いてみたけど、華煉さんのことは全く憶えてないみたい。
アンジェリカに託された銀の腕輪を渡したら、不思議そうな顔をして、それでも身につけることにしたみたい。
緋魅は火耶がどの程度の能力を持っているのか調べてる。
氷彌さんは火耶の生活に必要な物をせっせと準備してる。
アンジェリカはどうすればいいんだろう?
きっと、お友達になれば緋魅も氷彌さんもうれしいんだろうな。
うん。頑張る。』
PR