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精霊伝説:波紋を斬る者 ヴェル、災渦の日記 (+カヤ・ボーフォートのセルフォリーフの日記、アンジェリカ・ラッセルの偽島探検記+イシュケ、翠祀)
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「ねぇねぇ、魔獣兵器ってかっこいいよね!」


彼女は合成結果にご機嫌だ。
私の新しい器。
どうやら、隠し武器をいくつか持っているらしい。
擲弾砲、サブマシンガン、パイナップルがいくつか・・・・
新しい器になじむには少し時間がかかりそうだが、目の前の強敵を叩くにはちょうど良い。


「そういう貴女もいつのまに怪盗になっていたのです?ご両親が嘆かれますよ?」


ついこの前までうさみみだ狐の耳だと子どもらしく騒いでいたと思ったのに・・・


「怪盗ってね、魅力的なんだって!魅力が高いほどいろいろできるって聞いたから。
 だめかな?」


怪盗ね。
まぁ、悪いとは言わない。
彼女のように華奢な子供には回避能力も必要だから。


「ねぇ、緋魅。怪盗ってどんな感じなのかな?怪盗アンジェリカってかっこいい?」


そういう彼女は怪盗にどんなイメージをもっているのだろう?


「んとね、長いマントをなびかせて、タキシードみたいな服着てるの。モノクルとかかけていてもかっこいいな~」



 



・・・・

「もう少し現実を見る方がいいですよ?」


そういいつつも子どもらしい夢をもっていてくれるのはうれしいことだ。

彼女はいつか現実に立ち向かわなければならないのだから。


「そういえば緋魅」


「なんですか?」


「華煉さんって誰?」


思わず手に持っていた武器を落としそうになる。
振り返って見ると、先ほどまでの子どもっぽい表情は消えていた。


「アンジェリカはこれからもいろいろ緋魅に話をするから・・・緋魅もアンジェリカに話して。」


そういう彼女の青い目が光る。
きっと私は彼女に抗えないだろう。
だが、今はまずい。


「きっとお話します。ですが、今はご容赦ください。」


「どうして?」


「新しい身体がなじむまで心理的に動揺するわけにはいかないからですよ。あの娘の話を動揺せずに出来るとは思えないので。」


そういうと彼女は今日は許してあげる、と言って氷彌の用意しているお茶とお菓子を食べに行ってしまった。
このタイミングで新しい器を得たことに少しだけ感謝した。



「34日目の日記

りすの集団と戦いました。

予想していたよりも強くて、みんな散り散りになってしまって・・・

アンジェリカはケサちゃんとセラフおねえちゃんと一緒で本当によかった。

遺跡の地下深くは強い敵が多くて、アンジェリカ達を阻みます。

この先に見知った気配が降臨したと緋魅が言ってたけど、まずはみんなと合流しなきゃ。

そのためにも油断は出来ないとおもった。

ケサちゃんの足を引っ張らないように。

緋魅と氷彌さんにも強くなってもらわなきゃ。

そのためにもアンジェリカは強い器を捕まえないといけない。

より強く。より魅力的に。

敵が手を止めるぐらい、手加減してしまうぐらい、アンジェリカはアンジェリカなりの強さを磨かないとね。

アンジェリカの武器は攻撃力や防御力じゃないのだから。」

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