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精霊伝説:波紋を斬る者 ヴェル、災渦の日記 (+カヤ・ボーフォートのセルフォリーフの日記、アンジェリカ・ラッセルの偽島探検記+イシュケ、翠祀)
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「伺ってもいいですか?」

声と一緒にこぽこぽという音と紅茶の香り
日記を書くのをやめてお茶にしませんか?おしゃべりしませんか?という合図。

ペンをおいて私はソファへと向かう。
小さな建物の101号室。
今はファルさんとリルさんは戻っていない。

今日のお茶菓子はちょっと厚焼きのクッキー
食べるのに時間がかかりそうな・・・・長い話をしたいのかな?紅茶もポットで用意しているみたい。

「何?」

私は行儀悪くクッキーを摘みながらソファに座る。
緋魅は私の向かい合わせに座った。

「貴女の家のこと教えていただけませんか?いくらなんでも10歳の子どもを当主として鍛えるためとは言え、このような戦地に送り込むのは普通ではないですよね?そもそも貴女以外に候補はいなかったのですか?」

サクッ
クッキーを一口食べてお皿に置いた。



「聞きたい?」

「えぇ、少しずつでも貴女のことが知りたいですね。」

ほぅっと息を吐き出す。
私は部屋を横切って寝室に向かう。
そこにあるのは普段は遺跡外においている荷物箱。
中には島から出る時に着るための服。
ベストと対になっている晴着。

そして、その奥に・・・・あれがあった。
私は小さな袋を持ってリビングに戻った。

「見ててくれる?」

袋の口をあけて中から取り出したのは小さな白い石
それを左の掌の上において、そっと目を閉じ、そして目を開く。

緋魅が驚愕している。
気持ちはわかる。
私も最初に見た時は驚いたから。

光を放つ白い石から立ち上るような煙のような炎のようなもの。
赤い、赤い、陽炎のような何か。

「これはローエングリンという星の力を持った石。地水風火の力、聖の力、邪の力を持っているといわれてる。
私の国に伝わる宝玉の欠片。
この石を持つとその人の特性を石が答える。
私は赤。赤いオーラ。父は白銀、母は朱金だったわ。」

そっと、石を袋に戻す。
手から離れた石は光るのをやめた。

「ラッセル家の当主になる人はね、赤いオーラを持っていないといけないの。
赤は統率、力を意味するから、そういう人の方が向いてるんだって。
代々の直系は赤いオーラを持っている人が多いわ。
生まれた土地の影響もあると言われてる。
王都の周りには赤い人が多いらしいの。
国を統べる力の多い部族が王になり自らの土地に都を築いたからだとも言われてる。」

「・・・・・・つまり、その力で貴女が選ばれたということですか?他に候補者は?」

「んっとね、紙とペンもってくるからちょっと待って。」



☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆



驚いた。
あの石はなんだろう。
私もはじめてみたが・・・どこか禍々しい力を持っているように感じた。

驚き覚めやらぬ私の横で彼女は何やら家系図を書きはじめた。



☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆



「んとね。先々代さまから行くね。
先々代のハーマン様には男の子ばっかり5人の子供。
上からヴィクター、クレメント、オスカー、サミュエル、ティモシー
このクレメントさんがアンジェリカのお祖父ちゃんだよ。

んでね、ヴィクター様が先代様。
ヴィクター様には子どもが二人。アグライア様とアイリーン様。
このお二人はまだ結婚してないのね。
で、アグライア様が今の御当主様。
アイリーン様が祭主様

んで・・・クレメントお祖父ちゃんの子どもがオーレリア。アンジェリカのお母さんね。
で、ママはセオドアさんって人と結婚してアンジェリカが生まれたの。

あと、オスカー大叔父様とサミュエル大叔父さまにはお子さんが3人ずつ
ダニエル叔父さん、エドガー叔父さん、コンスタンス叔母さん
ルイス叔父さん、レイモンド叔父さん、ヴィンセント叔父さん

よし、これで書けた。これがアンジェリカのおうちの人ね。
でね、当主候補になれる赤いオーラの人がハーマン様、ヴィクター様、クレメントお祖父ちゃん、サミュエル大叔父様、アグライア様、ルイス叔父さんとアンジェリカ。
祭主候補になれる人がグレゴリー様、ティモシー様、セオドア父様、アイリーン様。」

15.jpg


そういいながら赤い丸と青い丸をつけていく。

「青い印が少ないですね。」

「うん。祭主になれる人は少ないの。
んでね、お亡くなりになった方が、この×印の人。」

そう言ってさらに印をつけた。
ハーマン様、フローラ様、グレゴリー様、クレメントお祖父様、モイラお祖母様、ティモシー叔父さま・・・

「この貴女のお母様の△印は?」

「母のオーラは朱金っていったでしょ?金色の方が強いの。多分モイラおばあちゃんが特殊な人だったんだと思うけど。
だけど、赤味がかっているから、赤の要素もないわけじゃないって言われてるの。
このせいでとっても苦労したのよ。

あのね。アグライア伯母様が22歳の時に、今のアンジェリカと同じように当主としての力を示すために家を離れられたことがあったの。
アグライア様は直系だし、ずっとそのために教育されてきたから、言わば最終試験みたいな感じだったんだけど・・・そこから戻ってこられなかったの。」

アグライア伯母様があのときすぐに帰ってきてくれていたら・・・
オーレリア母様はあんなことに巻き込まれなかっただろうに。

「は?戻ってこなかったと?」

「そう。どこに言っていたのかは誰も知らないけど、アグライア様はなかなか戻られなくて、ひょっとして死んだんじゃないかって噂されて・・・。
それでお母様がその次の当主候補として急に戦地に送られることになったの。」

「赤いオーラを持っておられるこのルイスさんではなく?」

緋魅が指差したのは赤い丸のついたルイス叔父様。
あの時ルイス叔父様が選ばれていたら、今頃こんなことになってなかったかもしれない。
緋魅に言われるまでもなく、私だって何度も同じことを考えた。
もしも、ママが当主候補じゃなかったら・・・って。

「オーレリア母様って生まれてすぐに両親を亡くしているの。それでヴィクター様が親代わりに育てたから。
あとね、ルイス叔父さんはオスカー大叔父様がはじめた商売を継ぐことになっていて。そういう意味でもお母様の方が都合が良かったのよ。お母様の場合、ご両親もいないし、ご両親代わりはヴィクター様だし。・・・・その・・・・危険な戦地に送ることに誰も反対しなかったというか・・・・」

ママ、かわいそうなママ。
家族がいないから誰にも守ってもらえなかったママ。
パパはどうしてそのとき反対しなかったの?って聞いたら、ママなら耐えられると思ってたからって答えた。
パパが反対しなければ、誰も反対するはずがないのに。

「でもね、アグライア様帰ってこられたの。
それで、アグライア様が御当主を継がれたから、お母様も戦地から戻ってこられて。
で、お母様は本当なら結婚した時点でラッセルの家から離れられるようになったはずだったの。
でも、お母様がセオドア父様と結婚されたから、いろいろややこしくて。」

パパはかっこいいし、ママのことを誰よりも大事に思ってる。
ママのこと、アンジェリカも大好きだけど、パパには敵わないかもしれない。
そのぐらいパパはママを溺愛してる。
結婚したのは、ママにとっても幸せなことなんだけど・・・。

「そういえば貴女のお父様のところにも青印がついていますね。」

「うん、祭主は白いオーラを持ってないといけないのね。でも白ってなかなか生まれなくて。
末子が祭主って言うけど、要するに当主は白いオーラの子どもが生まれるまで子作りしないといけないんだって。

それでハーマン様とフローラ様の場合、5人目に生まれたティモシー様がようやく出来た祭主候補だったんだけど・・
ティモシー様が13歳ぐらいの時に亡くなられたの。
さすがにハーマン様とフローラ様が子どもを作るようなお年じゃなかったし、グレゴリー様も当時3歳ぐらいのアイリーン様が成長するまで祭主を勤められそうになくて。
それでハーマン様とフローラ様は神官の才能に溢れた子どもを養子にされたの。
それがセオドア父様よ。

父様はすっごく綺麗な銀色のオーラの持ち主で、白よりもよほど神に近いとされてるの。

だけど、セオドア父様はどれほど強い力を持っていても「自分はアイリーン様が大きくなるまでの代理」っていう立場を貫かれて、それで一族の中では控えめにされていたから、皆に好かれてたの。

アイリーン様が成人された時に祭主位を譲って引退されたあとも、神官として薬師として医師としてものすごく強い力を持っているから、皆に頼られてて・・・・
それで、父様が母様と結婚したいと言い出したときに、これ幸いと婿養子としてラッセル家に迎え入れちゃったの。」

「それで、ご両親は家に残られたのですか?」

「うん、だから、オーレリア・ラッセルは王都にあるラッセル本家に一番近い分家の家長になっちゃったの。
で・・・今の問題は次代の当主を生むべきアグライア様が結婚されなくて、一時期当主候補にもなったことのあるオーレリア母様と先代祭主のセオドア父様の子どもであるアンジェリカが赤いオーラを持っていたってこと。」


☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆


「14日目の日記

砂地でフローラお姉ちゃんと二人で戦いました。

短剣がだいぶしっくり来るようになりました。

あと、ママにもらったワンピースを弓に混ぜてしまったので、家に帰る時は遺跡外にある衣装箱の中の服で帰らないといけなさそう。

お祭り用の服だから派手なんだけど、マントを着れば問題ないよね。

この島ではアンジェリカの着たい物を作れます。

自分で稼いで自分の好きな物を作るってとっても楽しいと思いました。

あと、遺跡外に出たらお金がなくてもおいしい草をもらえるっていうのがこの島のいいところです。

がんばってお金ためて、いろんな物をつくってみたいなぁ。


あと、狼さんにもう一回会いたいです。

今度狼さんにあったらペットになってくださいってお願いしようと思っているの。

どうか、もう一度会えますように。」

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