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精霊伝説:波紋を斬る者 ヴェル、災渦の日記 (+カヤ・ボーフォートのセルフォリーフの日記、アンジェリカ・ラッセルの偽島探検記+イシュケ、翠祀)
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14日目の結果に書いた13日目の日記
イベント参加しましたが、絵は二つ下の記事
「どうしたの?その格好。」

普段はふわっとしたなんだかずるずるした服を着ている緋魅がとってもカジュアル。
髪もすこし短めにしているみたい。
蜂さんになると性格変わるのかな?

なんて考えていたら、緋魅はにっこり笑った。
空気がいつもよりやわらかい。

「お祭りに行きませんか?」

「え?」

「今日はお祭りがあるみたいですよ。」

そういってまたにっこりと笑った。




【carne vale!】 お祭りの日




「で?」


私の声が震えていても、緋魅は全く動じない。
にっこり笑って


「お似合いですよ。」


なんて言ってるし。


「そうじゃなくて!なんで私だけこんなごちゃごちゃした格好なの!!」


一枚の大きな布をぐるぐる巻きつけられて、どうなっているんだかさっぱりわからない。


「今日は民族衣装のお祭りらしいんですよ。」

「民族衣装??」

「えぇ、それで、貴女のお母様は元々南の方の出身だとか。
 これは南のほうの民族衣装らしいですよ。
 サリーというものらしいです。」


そっか。
緋魅にはちゃんと話してなかったから。
TAGさんが茶色い肌なのに、お母さんに似ていると私が言っていたから。
だから、誤解したのかな?


「緋魅、違うの・・・」

「何が出すか?」

「ごめんなさい。私が紛らわしい言いかたしたから。
お母さんのお母様。私のお祖母様は確かに南の出身の方らしいの。
お母さんの茶色い肌はお祖母様譲りらしいけど、お母さんは生まれたときからずっと王都に住んでおられたから。
だから、私の一族の衣装はこんな風じゃないの。」


すっと緋魅の笑顔がかげる。
きっと、この民族衣装を用意するのにも時間がかかったんだろうな。


「ごめんね。これは緋魅が着て。」


そう言って、私は布を解き始めた。
が、ふわっとした何かに包まれたと思ったら、サリーと呼ばれたその布は消えて、私はいつものワンピースを着ていた。


「私が着るにはこの布地は短すぎるのですよ。長さも幅も。
 それに私は普通の服は身に纏えません。」

「どうして?」

「私は焔霊の残滓ですから。普通の服はちょっと油断すると燃やしてしまうのですよ。
 今着ているこの服は、焔霊と人間の間に生まれた火喰い鳥の民と呼ばれる者が作った布で出来ていて、
 私が着れるのは普段のあの服とこれぐらいのものなのですよ。
 この上着も昔はすそがもっと長くて、良い仕立てだったのですよ。男物でしたが。
 この上着の下の服も火喰い鳥の民がショールのように纏っていた布から作ったものです。」


そういえば、緋魅はお茶を入れたりしてくれるけど、触るのは陶器だけ。
布や紙には極力さわらないようにしているみたい。
私の日記も興味を持っているようだけどあんまり触られたことがない。


「では、貴女のおうちの晴着というのはどんなものなのです?」

「えっとね・・・・晴着・・・・どんなだろ?いつもよりちょっと綺麗なワンピース着ることが多い・・・」

「ごく普通のお祭りのときでもいいですよ?」

「んっと・・・お祭りの時にみんなが着ているのは、
 そでがふんわり膨らんだシャツの上にベスト
 ふんわりした膝下までの下スカート。
 その上にそれより少し短めの膝の少し上までの上スカート
 上スカートをつまんでひらひらさせて踊るのよ。
 ・・って・・・・これどこから出てきたの!?」


そうやって私が言うたびに目の前に服がどさどさと落ちてくる。  


「どれか近いのを選んでください。よくわからないので適当に作りましたから」

「作った!!」

「えぇ、さっきのサリーの布をばらして組み変えて・・・大したことじゃありません。さぁ。選んで。残りはまた布に戻しますからね。」


作ったって・・・こんな一瞬に?
でも、盗んだわけじゃないならいいのかな?

ごそごそと服を選ぶ。
近いような遠いような・・・・ぴったりのものはさすがにないけど、せっかく用意してくれたんだから比較的近そうな服を私は選んだ。


「こんな感じが一番近いかな?」


そんな私を見て緋魅が一言。


「普段と代わりませんね。」

「うっ!」

「貴女、いつもそでのふわっとしたワンピースの上にベスト着ていたりするから。
 スカートが二重になっている以外は普段と一緒でしょう?」

「だって!パパとママが恵みがありますようにって!お祭りのときのようなベストを持たせてくれたんだもん!」



☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆



「だって!パパとママが恵みがありますようにって!お祭りのときのようなベストを持たせてくれたんだもん!」


・・・・・なるほど・・・・島に送り出す娘に、せめて晴着をと用意したわけか。
しかし、晴着には見えなかったが・・・
名家の跡取りではなかったのか??


「まぁ、いいでしょう。私も普通の人から見たら普段着にしか見えないでしょうから。
 行ってみましょうか?浮いたら端から見ていればいいでしょう。きっと楽しいですよ。」

「うん。輪に入れなくても見てるだけで楽しそうだよね!」


少しは元気になっただろうか?
だが・・・・この先のことも考えると、家の話はいつか聞かなければならないだろう。
一体、どんな家なのか。

私は考えるのをやめた。
考えると表情に出てしまうだろうか。


「さ、行きましょうか。」


そう言って手を差し伸べた。


☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆


『13日目の日記

急いで日記書いてます。

今日はお祭りにいってきたのでもう夜も遅いから。


13日日は狼さんに会いました。

狼さんはとっても強かったです。

でもアンジェリカたちも強くなったので勝てました。

あと、ティアリスお姉ちゃんに装飾作ってもらいました。

次の戦闘の時はケサちゃんがいないけど、フローラお姉ちゃんと二人で頑張りたいな。


あと、今日のお祭り、とっても楽しかった。

今まで見たことのない服を着ている人がたっくさんいたし。

おうちに帰ったら、いろんな人に民族衣装について聞きたいな。

きっとヴィンセント叔父さんやエドガー叔父さんなら

アンジェリカの知らないような民族衣装についても知っていると思うし。

今日見た知らない服も叔父さんたちなら知っていると思うの。

どれもとっても綺麗だった。

あと緋魅が用意してくれたサリーって服も不思議な服でとっても綺麗だった。

黙ってたらそれはそれで楽しかったかも。

機会があったら、ヴィンセント叔父さんに頼んで見ようかなって思いました。


島はいろんなことがあるので、とっても楽しいです。

ひょっとしてこうやっていろんなことを知るために当主になる人はおうちを出て修行の旅に出るのかな?

今日見たお祭りもいつかアンジェリカの役に立つといいなって思いました。』

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