精霊伝説:波紋を斬る者 ヴェル、災渦の日記
(+カヤ・ボーフォートのセルフォリーフの日記、アンジェリカ・ラッセルの偽島探検記+イシュケ、翠祀)
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御題は
シチュエーション「崖の上(火サス的な)」 キーワード「獣」「変身」 タイトル「爆発しろ!」
でした。
ENo.1651の人のサブを無断で借りたような借りなかったような。
シチュエーション「崖の上(火サス的な)」 キーワード「獣」「変身」 タイトル「爆発しろ!」
でした。
ENo.1651の人のサブを無断で借りたような借りなかったような。
一歩後ろに下がろうとしたその足が妙に頼りない。
かかとで蹴った小石が深い谷間へと落ちていく音が聞こえる。
これ以上は後ろに下がれない。
前門の虎、後門の狼とは良く言ったものだ。
後ろは狼のあぎとと呼ばれる底に尖った岩のそそり立つ谷間。
これ以上下がって落ちでもしたら命はおそらくない。
そして私の目の前には・・・・
「さぁ、記憶探しの旅に・・・・・・行こうか。」
腕をこちらに伸ばしてくる黄色と黒の獣。
その腕を必死で振り払う。
「だめ。この卵さんは大事なんだもん。絶対に渡さないから。」
卵さんを置いて弓さえ構えられればこんな虎馬・・・瞬殺してやるのに。
■第五回 文章コミュイベント■運命のダイス■
緋魅に卵の運命を変えてと頼まれた。
卵の中にいる華煉さんの運命を変革して欲しいと。
私に何ができるかはわからない。
だけど何かが変わるかもしれない。
懇願されて少しくすぐったい気もしたけど、卵さんの行く末を見るまでこの島に留まることにしようかと思った。
そして、遺跡外から何度目かの魔法陣を通過して、異変に気づいた。
「あれ?魔法陣・・・・ン・・・・あってるはずなのに。」
魔法陣のそばの森には誰もいなかった。
地形そのものは床と森。
何故かあれほど卵さんに過保護な緋魅が居ない。
そして、目の前にはこのうっとおしい奴が・・・・
「さぁ、記憶探しの旅に・・・・・・行こうか。」
「嬉しかったことも、あったろう?」
一体誰に向って話しているのやら。
今は卵さんとアンジェリカしかいないのに。。。
卵さんとアンジェリカ??
まさか・・・・
「お前にも嫌な記憶・・・・・・あるのかい?」
なぜだろう。
この言葉をこのまま卵さんに聞かせ続けてはいけない気がする。
こいつから離れなければ、離れなければ・・・
そう思っていたのに、どこで道を間違えたんだろう。
ふと気づくとこの場所に追い詰められていた。
もう一歩も後ろに引き下がれない。
「来ないでよ。あっち行って!」
半ば魅了されている虎馬の攻撃を避けるのは簡単だ。
だけど、避けているだけではダメだ。
こいつの口を塞がなければ・・・・撃退しなければ。
卵さんに過去を引きずらせてはいけない。
卵さんの運命を変えてあげないといけないんだから。
「・・・・まったく、どこに行ったのかと思ったら。マスター、迷子もほどほどに。」
その言葉と共に虎馬を炎が包み込む。
「このバッファローウォームの身体では炎の威力が低くなってしまいますね。
できれば、地下深くにいる者の身体を借り受けたいものですね」
「緋魅!探しに来てくれたの?」
ブスブスと音を立てながら崩れ落ちる虎馬を避けて、緋色の髪の女性へと歩み寄る。
だけど・・・
かすかに違和感?
「緋魅?」
「何ですか?」
「ひょっとしていつもと違う?」
そういうと緋魅はくしゃっと髪をかき上げた。
「わかりますか?」
「なんとなく、いつもと違うことぐらいは。」
そういうとかきあげた髪をそのままぐしゃぐしゃとかき乱す。
「・・・たいしたんですよ。」
「え?」
「変態したようなのですよ。今は中性体です。」
えっと・・・えっと・・・えと・・・
「えっと・・・変態って、変な人じゃなくて・・・・おたまじゃくしが蛙って言うか・・・変身に近いほう?」
「そうです。
おそらく、このバッファローウォームの身体が限界なのでしょうね。」
言われて見れば、いつもよりも何となく身体が固そうだし・・・胸もない?
「緋魅、男の人になっちゃったの?」
「いえ、中性というかセクスレスですね。どちらでもない状態です。」
「氷彌さんは?」
「今は分かれていると不安定なので私の中に取り込んでいます。」
セクスレス・・・
確かに女性でも男性でもない・・・本来の精霊としての緋魅に戻りつつあるのかな?
バッファローウォームは限界だといってたし。
卵を気遣っている緋魅はいつもより少し精悍で、そして、緋色の髪だけはいつもより輝いて綺麗に見える。
「・・・・綺麗」
「は?」
「触ってもいい?」
返事も待たずに髪に触れる。
綺麗な緋色。
さらさらしてて、とっても綺麗。
「マスター」
「なぁに?」
いつもよりさらさらとした緋色の髪を撫でる。
「少し離れてくれませんか?」
「やだ。」
「やだじゃなくて・・・・貴女、自分が魅了の力を無意識に揮っていることに気づいていませんね。
今は中性体。少しバランスを崩すと男性体になってもおかしくないんですよ?」
「だってぇぇ、こんなに綺麗なんだもん。」
意図はしてなかった。
ただ、あまりに綺麗な髪だったからもう少し触っていたくて・・・
緋魅の目を見ておねだりしてしまった。
ごくり・・・
喉を鳴らす音がして、はじめて気づく。
この状況ってちょっとまずいかも・・・・
バランスを崩すと男性体に・・・ってことは精霊にもどりつつあるんじゃなくて、本当にバランスを欠いてるんだ。
肉体的に。
おそらく、精神的にも。
よりにもよって崖っぷちで・・・・やってはいけないことをやってしまったような。
「緋魅?」
少し力を篭めて呼びかけてみる。
緋魅は軽く頭を振ってる。
何かを振り払うかのように。
でも、目は虚ろで・・・・・今の緋魅につかまっちゃいけない気がする。
「緋魅」
左腕が掴まれる。
なんとなくだけど抱きかかえられちゃいけない気がする。
「緋魅!」
「この役得野郎が!!」
突然の闖入者に驚く間もなく、何者かが樹の枝で緋魅の頭を思いっきり殴っていった。
えっと・・・あれはハロウィンのぬいぐるみをくれたお兄ちゃんだったような。
「えっと・・・・緋魅、大丈夫?」
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
ズキッ
何故か器の傷みが伝わってくる。
遺跡外で十分休息したはずなのに。
金髪の少女・・・マスターが心配そうに顔を覗き込んでくる。
「緋魅、気がついた?」
「マスター」
何があったんだろう。
妙に頭が痛い。
ここは・・・・テントの中?
「大きな樹の枝が飛んできて後頭部をぶつけたんだよ。心配しちゃった。」
樹の枝で後頭部??
記憶が一部飛んでいるようだ。思い出せない。
マスターは倒れた私をここまで運ぶのに如何に苦労したかを話しているようだが、頭にすっと入っていかない。
「まだ具合悪いの?」
「器が合っていないのかもしれませんね。少し頭が痛いようです。」
「スープ作ったから食べる?」
そういうと少女はバタバタと用意をはじめた。
程なく、スープ皿に入った具沢山のスープを運んでくる。
「緋魅は精霊さんだから食べなくてもよくても、バッファローウォームの器さんには何かあげなきゃ。」
そういうとベッドの横に座って、スープをスプーン一杯掬い取り、ふぅーふぅーと息をかけた後、にこやかに微笑んで
「はい。あぁーんして。」
と少女が言う。
まるでおままごとみたいだな・・と私は苦笑しつつ口をあーんとあけてみた。
が・・・・
「リア充!・・・・」
リア充のあとに何か喚いていたようだが、私には聞き取れなかった。
なぜなら、突然現れた闖入者にバットのようなもので後頭部を殴られ、器に衝撃をうけた私は意識を手放したようだから。
・・・・この声には聞き覚えがある。
なので、いつかこのお礼はさせていただこうと思う。
かかとで蹴った小石が深い谷間へと落ちていく音が聞こえる。
これ以上は後ろに下がれない。
前門の虎、後門の狼とは良く言ったものだ。
後ろは狼のあぎとと呼ばれる底に尖った岩のそそり立つ谷間。
これ以上下がって落ちでもしたら命はおそらくない。
そして私の目の前には・・・・
「さぁ、記憶探しの旅に・・・・・・行こうか。」
腕をこちらに伸ばしてくる黄色と黒の獣。
その腕を必死で振り払う。
「だめ。この卵さんは大事なんだもん。絶対に渡さないから。」
卵さんを置いて弓さえ構えられればこんな虎馬・・・瞬殺してやるのに。
■第五回 文章コミュイベント■運命のダイス■
緋魅に卵の運命を変えてと頼まれた。
卵の中にいる華煉さんの運命を変革して欲しいと。
私に何ができるかはわからない。
だけど何かが変わるかもしれない。
懇願されて少しくすぐったい気もしたけど、卵さんの行く末を見るまでこの島に留まることにしようかと思った。
そして、遺跡外から何度目かの魔法陣を通過して、異変に気づいた。
「あれ?魔法陣・・・・ン・・・・あってるはずなのに。」
魔法陣のそばの森には誰もいなかった。
地形そのものは床と森。
何故かあれほど卵さんに過保護な緋魅が居ない。
そして、目の前にはこのうっとおしい奴が・・・・
「さぁ、記憶探しの旅に・・・・・・行こうか。」
「嬉しかったことも、あったろう?」
一体誰に向って話しているのやら。
今は卵さんとアンジェリカしかいないのに。。。
卵さんとアンジェリカ??
まさか・・・・
「お前にも嫌な記憶・・・・・・あるのかい?」
なぜだろう。
この言葉をこのまま卵さんに聞かせ続けてはいけない気がする。
こいつから離れなければ、離れなければ・・・
そう思っていたのに、どこで道を間違えたんだろう。
ふと気づくとこの場所に追い詰められていた。
もう一歩も後ろに引き下がれない。
「来ないでよ。あっち行って!」
半ば魅了されている虎馬の攻撃を避けるのは簡単だ。
だけど、避けているだけではダメだ。
こいつの口を塞がなければ・・・・撃退しなければ。
卵さんに過去を引きずらせてはいけない。
卵さんの運命を変えてあげないといけないんだから。
「・・・・まったく、どこに行ったのかと思ったら。マスター、迷子もほどほどに。」
その言葉と共に虎馬を炎が包み込む。
「このバッファローウォームの身体では炎の威力が低くなってしまいますね。
できれば、地下深くにいる者の身体を借り受けたいものですね」
「緋魅!探しに来てくれたの?」
ブスブスと音を立てながら崩れ落ちる虎馬を避けて、緋色の髪の女性へと歩み寄る。
だけど・・・
かすかに違和感?
「緋魅?」
「何ですか?」
「ひょっとしていつもと違う?」
そういうと緋魅はくしゃっと髪をかき上げた。
「わかりますか?」
「なんとなく、いつもと違うことぐらいは。」
そういうとかきあげた髪をそのままぐしゃぐしゃとかき乱す。
「・・・たいしたんですよ。」
「え?」
「変態したようなのですよ。今は中性体です。」
えっと・・・えっと・・・えと・・・
「えっと・・・変態って、変な人じゃなくて・・・・おたまじゃくしが蛙って言うか・・・変身に近いほう?」
「そうです。
おそらく、このバッファローウォームの身体が限界なのでしょうね。」
言われて見れば、いつもよりも何となく身体が固そうだし・・・胸もない?
「緋魅、男の人になっちゃったの?」
「いえ、中性というかセクスレスですね。どちらでもない状態です。」
「氷彌さんは?」
「今は分かれていると不安定なので私の中に取り込んでいます。」
セクスレス・・・
確かに女性でも男性でもない・・・本来の精霊としての緋魅に戻りつつあるのかな?
バッファローウォームは限界だといってたし。
卵を気遣っている緋魅はいつもより少し精悍で、そして、緋色の髪だけはいつもより輝いて綺麗に見える。
「・・・・綺麗」
「は?」
「触ってもいい?」
返事も待たずに髪に触れる。
綺麗な緋色。
さらさらしてて、とっても綺麗。
「マスター」
「なぁに?」
いつもよりさらさらとした緋色の髪を撫でる。
「少し離れてくれませんか?」
「やだ。」
「やだじゃなくて・・・・貴女、自分が魅了の力を無意識に揮っていることに気づいていませんね。
今は中性体。少しバランスを崩すと男性体になってもおかしくないんですよ?」
「だってぇぇ、こんなに綺麗なんだもん。」
意図はしてなかった。
ただ、あまりに綺麗な髪だったからもう少し触っていたくて・・・
緋魅の目を見ておねだりしてしまった。
ごくり・・・
喉を鳴らす音がして、はじめて気づく。
この状況ってちょっとまずいかも・・・・
バランスを崩すと男性体に・・・ってことは精霊にもどりつつあるんじゃなくて、本当にバランスを欠いてるんだ。
肉体的に。
おそらく、精神的にも。
よりにもよって崖っぷちで・・・・やってはいけないことをやってしまったような。
「緋魅?」
少し力を篭めて呼びかけてみる。
緋魅は軽く頭を振ってる。
何かを振り払うかのように。
でも、目は虚ろで・・・・・今の緋魅につかまっちゃいけない気がする。
「緋魅」
左腕が掴まれる。
なんとなくだけど抱きかかえられちゃいけない気がする。
「緋魅!」
「この役得野郎が!!」
突然の闖入者に驚く間もなく、何者かが樹の枝で緋魅の頭を思いっきり殴っていった。
えっと・・・あれはハロウィンのぬいぐるみをくれたお兄ちゃんだったような。
「えっと・・・・緋魅、大丈夫?」
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
ズキッ
何故か器の傷みが伝わってくる。
遺跡外で十分休息したはずなのに。
金髪の少女・・・マスターが心配そうに顔を覗き込んでくる。
「緋魅、気がついた?」
「マスター」
何があったんだろう。
妙に頭が痛い。
ここは・・・・テントの中?
「大きな樹の枝が飛んできて後頭部をぶつけたんだよ。心配しちゃった。」
樹の枝で後頭部??
記憶が一部飛んでいるようだ。思い出せない。
マスターは倒れた私をここまで運ぶのに如何に苦労したかを話しているようだが、頭にすっと入っていかない。
「まだ具合悪いの?」
「器が合っていないのかもしれませんね。少し頭が痛いようです。」
「スープ作ったから食べる?」
そういうと少女はバタバタと用意をはじめた。
程なく、スープ皿に入った具沢山のスープを運んでくる。
「緋魅は精霊さんだから食べなくてもよくても、バッファローウォームの器さんには何かあげなきゃ。」
そういうとベッドの横に座って、スープをスプーン一杯掬い取り、ふぅーふぅーと息をかけた後、にこやかに微笑んで
「はい。あぁーんして。」
と少女が言う。
まるでおままごとみたいだな・・と私は苦笑しつつ口をあーんとあけてみた。
が・・・・
「リア充!・・・・」
リア充のあとに何か喚いていたようだが、私には聞き取れなかった。
なぜなら、突然現れた闖入者にバットのようなもので後頭部を殴られ、器に衝撃をうけた私は意識を手放したようだから。
・・・・この声には聞き覚えがある。
なので、いつかこのお礼はさせていただこうと思う。
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