精霊伝説:波紋を斬る者 ヴェル、災渦の日記
(+カヤ・ボーフォートのセルフォリーフの日記、アンジェリカ・ラッセルの偽島探検記+イシュケ、翠祀)
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ねぇ、レイモンド。
島に来ていろんなことがあったね。
うん・・・・ちょっとだけ怖いかな。
でも、がんばらないとね。
頑張って・・・それで皆に認められるようになって、おうちに帰りたいよ・・・
島に来ていろんなことがあったね。
うん・・・・ちょっとだけ怖いかな。
でも、がんばらないとね。
頑張って・・・それで皆に認められるようになって、おうちに帰りたいよ・・・
島探索1日目のアンジェリカの日記
「この島は不思議なところです。
島の中の遺跡には魔法陣で移動するのですが、何日かに一回しか魔法陣はつながらないようです。
島に来て最初にジョシュアって人に教えてもらった日は魔法陣のつながる日だったみたいです。
だから、それからしばらくは島の中の遺跡の外でいろんな人がお買い物していました。
私もお買い物に行きました。
お買い物のリストもジョシュアって人に教えてもらいました。
不思議なことにいろんな国の人が来ているのに、どこの国でもない通貨しか使えないようです。
だから、どんなお金持ちでも、最初はお金のかからないものしか買えないみたいで、お店の人に怒っている人もいました。
そのとなりで冷静に物を見ている人もいて、私は怒っている人より冷静な人の方がかっこいいと思いました。
お店には長い列がつづいてて、たまに私に「子どもはあっちに行ってなさい。」っていう人もいました。
アンジェリカも遺跡内に行くっていったら驚いてました。
何回も年齢を聞かれました。
正直に10歳っていったら驚かれました。
驚いた人は必ず「お父さんは?」とか「こんな小さな子を一人で島に送り出すなんて」って言ったりします。
パパとママがアンジェリカのことを虐待しているっていう人もいました。
ひどい誤解だと思います。
パパとママはちゃんとアンジェリカのことを大事にしてくれるって言ってもなかなか話を聞いてくれません。
答えるのに疲れちゃったので途中から「こう見えても20歳です」って答えたら、何も言われなくなりました。
今度から知らない人には20歳ですって答えようと思いました。
順番がまわってきて、お店の中で売っている物を見ました。
一番高いのは8000PSって値札がついてました。
お店の人に8000PSってどのぐらい大変なの?って聞いたら、普通の人は1000PS貯めるのも大変なんだよって教えてくれました。
そんなに高いのを買える人がいるの?って聞いたら、遺跡の中で珍しい物を拾うと高いお金で買ってくれる人がいるんだよって教えてくれました。
アンジェリカも珍しいものをいっぱい探そうって思いました。
お金のかからないものは「パンくず」と「美味しい草」と「落ちてた薬」の3種類でした。
みんなパンくずやおいしい草を集めてました。
それから、この遺跡の外には自由に使えそうな建物がたくさんありました。
私は大通りの裏の小さな建物を選びました。
ドアのノブが私でも簡単に手が届く位置だったし、中も綺麗でした。
9部屋あったけど、私は1階の端の101号室っていうお部屋を選びました。
ランプの灯りだから、ちょっと薄暗いけど、暖かくて気持ちの良いお部屋です。
あとシャワーも私の手が届く位置にあるので助かりました。
大きなホテルだとシャワーヘッドがすごく高い位置にあることが多いので、私は使いにくいのですが、ここなら安心です。
もう少ししたら遺跡の中へ移動できる魔法陣をまた使えるようになるみたいです。
遺跡の中に入って、探索の2日目がきたらまた日記を書こうと思います。」
「ふぅ」
日記を書き終えるとアンジェリカはため息をついた。
家を出る時に母親から日記をつけるように言われていたので、島に来て数日の日記をまとめて書いた。
最初にこの島に来たのは11月11日。
それから1週間、ずっと遺跡外でこの島のことを調べていた。
どうやらもうすぐ遺跡内への魔法陣が開くらしい。
遺跡の探索2日目はもうすぐだ。
魔法陣へ移動する直前に新鮮な美味しい草とパンくずを買おうとアンジェリカは決めていた。
日記を書き終えてペンを置くとすぐ横にあったウサギのぬいぐるみを引き寄せて頬擦りした。
「ねぇ、レイモンド。もうすぐ遺跡に入るんだね。一人はちょっと怖いけど、パパにもらったナイフがあれば大丈夫よね?」
父親が持たせた銀のナイフ。
母親が魔法をかけたリボンのついたワンピース。
怪我をしても少しだけ体調を回復させてくれる装備を両親は持たせてくれた。
ラッセル家の
『家督を継ぐ者は武術に秀でていなければならない。』
という掟。
「武術に秀でていること」を証明するために、歴代の家長達は漏れなくどこかの冒険者ギルドに所属し、様々な敵と対峙し、それなりの功績をあげてきた。
近年では家督を継ぐべく教育されていたアグライア様が行方不明になったことがあり、アンジェリカの母親のオーレリアも家長候補代理として修行に出されたことがある。
そのときはアグライア様が戻られたので、母親は家督を無理に継がなくてもよくなったのだが・・・
アンジェリカの代では家長であるアグライアが独身を貫いており、次位となる祭主のアイリーン様にもお子様がいない。
そんな情勢では、父親が先代の祭主で現在は筆頭神官、母親が元家長候補というアンジェリカを「次代の家長へ据えたい」という期待が高まるのも無理のないことだった。
アンジェリカもそれを知って7才のときから小さなナイフを使う戦闘術を習ってきた。
だが、よもや10歳で修行に出されるとは、父も母もアンジェリカも思っていなかった。
「アグライア伯母様がいけないんだわ・・・・。」
アグライアが子を産めば、アンジェリカが家督を継ぐこともなかった。
だが、アグライアはどんな結婚話がきても頑として断り続けた。
そして今回のこの話。
これでアンジェリカが成果を上げれば間違いなく次代の家長はアンジェリカになるだろう。
「ねぇ、レイモンド。アグライア伯母様はどうして結婚なさらないのかしらね。」
そういってウサギのレイモンドをぎゅっと抱きしめた。
レイモンドからはほのかに気持ちを安らげるようなハーブの香り。
眠くなったアンジェリカはベッドルームへ向かいそのまま寝ることにした。
翌日遺跡内へ移動する魔法陣が再び開くことを彼女はまだ知らなかった。
「この島は不思議なところです。
島の中の遺跡には魔法陣で移動するのですが、何日かに一回しか魔法陣はつながらないようです。
島に来て最初にジョシュアって人に教えてもらった日は魔法陣のつながる日だったみたいです。
だから、それからしばらくは島の中の遺跡の外でいろんな人がお買い物していました。
私もお買い物に行きました。
お買い物のリストもジョシュアって人に教えてもらいました。
不思議なことにいろんな国の人が来ているのに、どこの国でもない通貨しか使えないようです。
だから、どんなお金持ちでも、最初はお金のかからないものしか買えないみたいで、お店の人に怒っている人もいました。
そのとなりで冷静に物を見ている人もいて、私は怒っている人より冷静な人の方がかっこいいと思いました。
お店には長い列がつづいてて、たまに私に「子どもはあっちに行ってなさい。」っていう人もいました。
アンジェリカも遺跡内に行くっていったら驚いてました。
何回も年齢を聞かれました。
正直に10歳っていったら驚かれました。
驚いた人は必ず「お父さんは?」とか「こんな小さな子を一人で島に送り出すなんて」って言ったりします。
パパとママがアンジェリカのことを虐待しているっていう人もいました。
ひどい誤解だと思います。
パパとママはちゃんとアンジェリカのことを大事にしてくれるって言ってもなかなか話を聞いてくれません。
答えるのに疲れちゃったので途中から「こう見えても20歳です」って答えたら、何も言われなくなりました。
今度から知らない人には20歳ですって答えようと思いました。
順番がまわってきて、お店の中で売っている物を見ました。
一番高いのは8000PSって値札がついてました。
お店の人に8000PSってどのぐらい大変なの?って聞いたら、普通の人は1000PS貯めるのも大変なんだよって教えてくれました。
そんなに高いのを買える人がいるの?って聞いたら、遺跡の中で珍しい物を拾うと高いお金で買ってくれる人がいるんだよって教えてくれました。
アンジェリカも珍しいものをいっぱい探そうって思いました。
お金のかからないものは「パンくず」と「美味しい草」と「落ちてた薬」の3種類でした。
みんなパンくずやおいしい草を集めてました。
それから、この遺跡の外には自由に使えそうな建物がたくさんありました。
私は大通りの裏の小さな建物を選びました。
ドアのノブが私でも簡単に手が届く位置だったし、中も綺麗でした。
9部屋あったけど、私は1階の端の101号室っていうお部屋を選びました。
ランプの灯りだから、ちょっと薄暗いけど、暖かくて気持ちの良いお部屋です。
あとシャワーも私の手が届く位置にあるので助かりました。
大きなホテルだとシャワーヘッドがすごく高い位置にあることが多いので、私は使いにくいのですが、ここなら安心です。
もう少ししたら遺跡の中へ移動できる魔法陣をまた使えるようになるみたいです。
遺跡の中に入って、探索の2日目がきたらまた日記を書こうと思います。」
「ふぅ」
日記を書き終えるとアンジェリカはため息をついた。
家を出る時に母親から日記をつけるように言われていたので、島に来て数日の日記をまとめて書いた。
最初にこの島に来たのは11月11日。
それから1週間、ずっと遺跡外でこの島のことを調べていた。
どうやらもうすぐ遺跡内への魔法陣が開くらしい。
遺跡の探索2日目はもうすぐだ。
魔法陣へ移動する直前に新鮮な美味しい草とパンくずを買おうとアンジェリカは決めていた。
日記を書き終えてペンを置くとすぐ横にあったウサギのぬいぐるみを引き寄せて頬擦りした。
「ねぇ、レイモンド。もうすぐ遺跡に入るんだね。一人はちょっと怖いけど、パパにもらったナイフがあれば大丈夫よね?」
父親が持たせた銀のナイフ。
母親が魔法をかけたリボンのついたワンピース。
怪我をしても少しだけ体調を回復させてくれる装備を両親は持たせてくれた。
ラッセル家の
『家督を継ぐ者は武術に秀でていなければならない。』
という掟。
「武術に秀でていること」を証明するために、歴代の家長達は漏れなくどこかの冒険者ギルドに所属し、様々な敵と対峙し、それなりの功績をあげてきた。
近年では家督を継ぐべく教育されていたアグライア様が行方不明になったことがあり、アンジェリカの母親のオーレリアも家長候補代理として修行に出されたことがある。
そのときはアグライア様が戻られたので、母親は家督を無理に継がなくてもよくなったのだが・・・
アンジェリカの代では家長であるアグライアが独身を貫いており、次位となる祭主のアイリーン様にもお子様がいない。
そんな情勢では、父親が先代の祭主で現在は筆頭神官、母親が元家長候補というアンジェリカを「次代の家長へ据えたい」という期待が高まるのも無理のないことだった。
アンジェリカもそれを知って7才のときから小さなナイフを使う戦闘術を習ってきた。
だが、よもや10歳で修行に出されるとは、父も母もアンジェリカも思っていなかった。
「アグライア伯母様がいけないんだわ・・・・。」
アグライアが子を産めば、アンジェリカが家督を継ぐこともなかった。
だが、アグライアはどんな結婚話がきても頑として断り続けた。
そして今回のこの話。
これでアンジェリカが成果を上げれば間違いなく次代の家長はアンジェリカになるだろう。
「ねぇ、レイモンド。アグライア伯母様はどうして結婚なさらないのかしらね。」
そういってウサギのレイモンドをぎゅっと抱きしめた。
レイモンドからはほのかに気持ちを安らげるようなハーブの香り。
眠くなったアンジェリカはベッドルームへ向かいそのまま寝ることにした。
翌日遺跡内へ移動する魔法陣が再び開くことを彼女はまだ知らなかった。
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